本研究では、フルオラス相互作用を利用してリン脂質類を選択的に抽出できる方法の開発を行った。フルオラスとはパーフルオロアルキル基同士の特異な親和性のことを指す。本親和性によって、パーフルオロ化合物は、パーフルオロアルカン類などのフルオラス溶媒中に極めて選択的に抽出される。本法では、パーフルオロポリエーテルカルボン酸の金属固定化体を用いてリン脂質類を捕捉し、その複合体のみをフルオラス溶媒に選択的に抽出した。本法をヒト血漿中リン脂質の抽出に適用したところ、何ら妨害を受けることなく、LC-MS/MS測定が可能であり、本法がリン脂質類を対象としたターゲットリピドミクスに応用可能であることが示唆された。
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