糖鎖は遺伝子の情報に直截支配されないため、生体の状態を反映して変化する。例えばガンの悪性化によっても糖鎖構造が変化するが、悪性化の結果として糖鎖が変化する場合と糖鎖の変化が原因で悪性化する場合がある。本研究では、細胞の老化やガン化に伴なう糖鎖の変化をモニタリングすると同時に、フッ素化糖を投与して糖鎖構造を変化させ、細胞機能を変えることを試みた。その結果、フッ素化ガラクトースを投与すると、ガン細胞を殺さず増植を抑えることを見出だした。これまでの抗ガン剤がガン細胞を殺すことを目的としていたのに対して、ガン細胞の増殖を抑えるだけなので、副作用の小さい新しいタイプの抗ガン剤となる可能性がある。
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