研究課題
神経細胞は複雑なネットワークを形成し、細胞同士で情報をやり取りすることで生命活動を司っており、このネットワークに異常が起きると、情報伝達が正常に機能しなくなり、神経疾患の原因となり得る。一酸化窒素(NO)は、神経ネットワークの形成に関与する因子の一つであると考えられており、血管拡張や免疫系での研究は進んでいるが、神経系での研究はあまり進んでおらず、その作用について詳しい分子機構は明らかになっていない。本研究では気体分子であるNOの細胞内シグナル分子としての役割を解明するとともに、人工的な神経ネットワーク形成制御を実現するために、ラット由来の神経様細胞などを用いて、新規に開発された光応答性NO放出材料に対する応答を評価している。前年度までに、神経細胞突起のNO依存的な収縮応答の発見や、この応答に関連する分子の阻害実験を行った。本年度は、NOに応答するCa2+チャネルと、細胞内でNOを産出する酵素(NOS)が、アダプタータンパク質を介して相互作用することを突き止め、Ca2+とNOシグナルを効率よく増幅するメカニズムを見出した。また、共同研究先で開発された、光に応答してNOや一酸化炭素を放出する材料をHeLa(ガン細胞)やWI-38(線維芽細胞)に投与して細胞に対する毒性試験を行い、安全性を確認した。本研究に関連して、以下の発表を行った。1.Reiko Sakaguchi 1st WPI NanoLSI-iCeMS Joint Symposium on Nanoimaging and Advanced Materials for Life Science. TRPC5 channel-Caveolin-1-eNOS signalplexes coordinate interplay between Ca2+ and NO signals in endothelial cells. 2020年1月23日
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