研究実績の概要 |
本研究ではアキラルで入手容易なビルディングブロックを出発原料として、特定の水酸基をフッ素原子に置き換えたポイントフッ素化糖の合成を目指している。今年度は光学活性なポイントフッ素化糖を合成する手法としてリパーゼを用いた光学分割によって、合成中間体の光学活性を得ることを目標に検討を行った。これまでの検討では鍵中間体であるα-フルオロ-β-ヒドロキシエステルの水酸基をアセチル保護したアセチル化体に対してNovozym435を作用させるとanti体の片方のエナンチオマー(2R, 3R)体のみがエナンチオかつジアステレオ選択的に数井分解されて、光学活性体として得れることが分かっていた。種々検討したところ、アセチル化体のアルキル側鎖を伸ばしていくと、anti体だけでなく、syn体も加水分解されることが分かった。特にヘキシル側鎖とした場合にもっとも高い光学純度で(2R, 3R), (2R, 3S)体が加水分解されることが分かった。得られた光学活性α-フルオロ-β-ヒドロキシエステルは水酸基をTBS基で保護するとシリカゲルカラムクロマトグラフィーでジアステレオマーの分割が可能であり、α-フルオロ-β-ヒドロキシエステルの両ジアステレオマーが光学活性体として得られた。この光学活性anti体((2R, 3R)体)についてポイントフッ素化糖へと誘導したところ、4位のエカトリアル水酸基がフッ素原子に置き換わったポイントフッ素化アルトロースが88% eeで得られた。
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