研究課題/領域番号 |
16K05852
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
青木 元秀 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (30418917)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 質量顕微鏡 / 元素マイクロイメージング / LA-ICP-MS / 細胞内金属元素分布 |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアや葉緑体といったオルガネラを生み出した細胞内共生は、細胞の中に細胞が共生することにより新たな機能と構造を獲得する機会を生物にもたらす細胞進化の大きな原動力となっている。真核細胞の進化過程を解き明かす上で、細胞共生がどのように成立し、維持されているのかを分子レベルで詳細に理解することが求められる。ミドリゾウリムシとクロレラの共生メカニズムの解析の先行研究から酸化還元や抗酸化に関わるタンパク質の活性中心となる金属元素が、細胞内共生成立過程において細胞内で重要な役割を果たしているものと推測される。そこで本研究では、先端的多元素同時マイクロイメージング質量顕微鏡法による細胞内元素マッピング解析技術基盤を構築することを目的とした。さらに、細胞内共生成立過程における元素挙動解析へ応用して、金属元素が細胞共生に果たす役割の解明を目指している。平成28年度は、細胞内元素マッピング解析のための、高分解能レーザーアブレーション(LA)装置と誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)を組み合わせたmicroLA-ICP-MSシステムを構築し、細胞内共生モデル生物ミドリゾウリムシの細胞内の主要元素について、そのイメージング方法について検討した。その結果、固定したミドリゾウリムシ細胞をレーザーで走査する間に取得されるLA-ICP-MSの連続データからリン、亜鉛、マグネシウムの二次元マッピングイメージを同時に取得することに成功した。また、これら元素毎に特長的な細胞内分布を示すことを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究で構築したmicroLA-ICP-MSシステムを用いて、ミドリゾウリムシの細胞内の主要元素についてイメージングを可能にした成果は、細胞内共生成立過程における元素の役割を解明する上で重要な技術的基盤になると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究で構築したmicroLA-ICP-MSシステムの分析感度および定量性の向上を目指す。具体的な研究計画としては、microLA-ICP-MSシステムの細胞の元素分析に最適なパラメータの探索、およびバックグラウンドノイズ低減のための細胞前処理プロセスの最適化を実施する。とくに細胞培養時に用いた培養液に含まれる塩類は分析時のベースノイズとなるため、細胞にダメージを与えない範囲で細胞の洗浄前処理するための最適な前処理法を模索して、定量性の向上に努める。その後、実際に細胞内共生成立過程をミドリゾウリムシとクロレラをはじめとしたモデル生物で再現し、開発した元素イメージング法を用いて、酸化還元や抗酸化に関わるタンパク質の活性中心となる金属元素を中心に局在解析研究を展開し、その役割の考察につながる情報の収集に努める。また、ここまでで開発した通常の四重極型のICP-MSを用いたmicroLA-ICP-MSシステムでは、元素の種類とその濃度により質量干渉の影響や感度の問題から元素マッピングが難しい場合が想定される。特に網羅的な元素マッピングの可能性を追求するため、質量分解能の高くS/N比のより高感度測定が可能なICP-MSにmicroLAシステムを接続して、マッピング可能な元素の種類の向上の可能性ついても検討したい。
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