研究課題/領域番号 |
16K05858
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
西村 勝之 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 准教授 (00334631)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 固体NMR / アミロイドβ / オリゴマー / 脂質膜 / 構造解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、脂質二重膜との相互作用により特定構造を取り、分子間で会合して複合体を形成し、その機能を発現する膜表在性タンパク質、および、脂質結合ペプチドの立体構造解析に有効な固体核磁気共鳴(NMR)分光法の開発を行う。また、固体NMR分光法を用いて、当該試料の典型的な解析対象となる脂質膜上で誘起されるアミロイド線維、および、その線維化前の会合中間体の立体構造解析に適用し、線維形成機構の解明を行うことを目的としている。 昨年度までにGM1含有脂質二重膜に結合したアミロイドβ(1-40)の構造解析を目的に信号帰属のために行った一連の固体NMR測定では、十分に信頼性のある信号帰属が達成できなかった。このため、本年度は、再度、既存の13C同種核間、および13C-15N異種核間二次元相関NMRに様々な変更を加えて適用し、十分なスペクトル高感度化を達成し、観測された信号のほぼ全ての帰属を達成した。この信号帰属に基づき得られた化学シフト値から二次構造解析を行った。以前、構造解析を行った中性脂質膜上で形成されるAβ会合体より長いアミノ酸残基で構造を取り、この領域では、2つのβシート構造がランダムコイルで繋がれた構造を有することが判明した。さらに13C同種核間磁気双極子相互作用に基づく長距離相関スペクトルを複数条件下で測定を行い、C末端が逆平行βシート構造をとることを示唆する分子間長距離相関信号の検出に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、昨年度より多くの固体NMRマシンタイムを確保することができたため、極めて多くの測定を行うことができた。改良型測定法を何度となくテストすることができ、昨年度の測定では感度が不十分であった信号帰属のための一連の測定に関して、最適な条件で再測定することが実現した。これにより、信号帰属を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進展しており、このまま予定に沿って方法開発および当該試料の解析を行う。
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