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2016 年度 実施状況報告書

実バイオマス発酵に適した高性能キシロース資化酵母の新規プラットフォームの開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K05867
研究機関神戸大学

研究代表者

KAHAR PRIHARDI  神戸大学, 工学研究科, 特命助教 (90520958)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードキシロース発酵 / キシロース取り込み / 酵母 / 実バイオマス
研究実績の概要

本年度ではNBRC酵母ライブラリー(約1500株)からキシロース資化可能な酵母株をスクリーニングし、実バイオマスに近い発酵阻害物質組成を含む合成培地を用いてエタノール発酵とキシロース資化能の評価を行った。確実にキシロース発酵できる酵母を選抜するために、実験ではキシリトールが生成されない選別条件も加えてスクリーニングを行った。その結果、発酵阻害物質存在下で最もキシロース発酵能の高く、キシリトール生成しないCandida boidinii K212株を発見した。K212株の特徴は、発酵阻害剤耐性を有しているの他に、発酵pHが3までになっても増殖が阻害されないことから、低pH耐性を有している。実際に低pHでキシロース発酵を行ってみたところ、キシロースを完全に消費してエタノール発酵が確認された。こうして、K212株は、キシロース含量の多い実バイオマスの発酵に非常に向いている。
次に、当酵母株におけるキシロース発酵機能を解析してみた。しかし、K212株が属するC. boidiniiのゲノム情報が未だに明らかでないため、まずK212株のゲノムをdeNovoアセンブリ法によって完全に読むことにした。解読の結果、303 scafoldsが読まれて、その中から糖代謝関係は259 ORFで明らかになった。ただ、多くの部分はまだ不明である。今回に注目したのはキシロース資化に関係する遺伝子である。解析の結果、K212株には酸化還元バランスに左右されるキシロース還元酵素(XR)、キシリトール脱水素酵素(XDH)の存在が確認できていないが、逆にキシロースイソメラーゼ(XYLA)およびキシルロースキナーゼ(XYLB)が確認できた。よって、K212株におけるキシロース資化は酸化還元バランスに左右されないXYLAおよびXYLBによって行うため、阻害剤存在下でのキシロース発酵は可能になった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度ではスクリーニングと完全ゲノムの解読に集中的に行ったため、情報発信が少し遅れて、平成29年度にまとめて行う予定である。しかし、目的であるキシロース資化能の酵母の獲得とゲノムの解読にほぼ終わっており、さらにキシロース発酵に関わる遺伝子も特定できたため、平成28年度から平成29年度への実験の進み具合はほぼ順調である。

今後の研究の推進方策

平成29年度から、K212株におけるキシロース資化を評価するために、まず特定したキシロースイソメラーゼ(XYLA)およびキシルロースキナーゼ(XYLB)を遺伝子クローニングしてキシロース発酵機能を有していない酵母、たとえばSaccharomyces cerevisiae酵母のゲノムに導入し、キシロース発酵を行う。本研究でとりあげた酵母のスクリーニングからすでに阻害剤耐性S. cerevisiae酵母を複数発見しており、その中から一つ選んで検討を進めていく。また、K212株の反転膜を作製し、in vitro解析して、キシロースの取り込みの解析を行う。キシロース取り込みに関わる因子を明らかにするために、前年度で明らかになったK212ゲノムからキシロース取り込みに関わる遺伝子の特定を行う。今年度では得られた研究成果を国際ジャーナルに投稿し、また国際学会にも発表し、情報発信を積極的に行う。

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公開日: 2018-01-16  

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