水熱処理の研究対象は主に高分子化合物の分解処理に対するものであり、有機合成ツールとしての検討はほとんどなされていない。本研究は、硫酸化多糖の水熱処理の過程で、初めて官能基選択的に加水分解がおきている可能性に着目した点が独創的である。 加水分解反応は保護基の脱離反応など様々な有機合成に利用されているが、選択的な保護・脱保護は、高価な試薬、有機溶媒、煩雑な操作により行われている。本研究で用いた水熱処理は、水のみを溶媒とし、実験操作も簡便であることから、新規な環境配慮型有機合成ツールとして利用できる。
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