LSM多孔質球状粒子は、クエン酸を造孔剤して炭化法と噴霧熱分解法を組み合わせた手法で調製した。具体的には、所定比のLa、Sr、Mnの硝酸塩をクエン酸水溶液に溶解し、400 oCでの噴霧熱分解によってLSM前駆体粉末を調製した。その前駆体粉末を750-1000℃、1-3時間窒素雰囲気中で炭化処理し、最後に1000℃大気中で焼成することでペロブスカイト構造のLSM多孔質球状粒子を調製した。得られた粉末はX線回折実験の結果、どの粒子も炭化処理温度に寄らず単相のペロブスカイト構造であることを確認した。得られた粒子の大きさ約1-3μmの球状であった。炭化処理温度が900℃以上の試料では、粒子内部に大きさ100 nm程度の空隙が見られた。 センサ素子は、ガス検知極としてLSM粒子スラリーと対極としてPtペーストをそれぞれYSZに取り付けて、電気炉で焼結することで作製した。作製した素子は電気管状炉に一室式で取り付けて種々に希釈したガス(100 cc/min)雰囲気下でポテンシオスタットを用いて電流電圧特性を測定し、定電圧印可時に発生する電流値を読み取ることでセンサ素子として評価した。多孔質球状粒子を用いた電極は、中実球状粒子を用いた電極に比べて応答電流値は小さく、優先応答性は大きくなる結果が得られた。次にNOガスとベースガスを切り替えてから応答電流値が90 %回復するまでの時間(応答速度)を評価した。その結果、多孔質球状粒子と中実球状粒子を用いた電極における応答速度はそれぞれ、air→NO時で10と16秒でNO→air時で30と39秒と多孔質球状粒子の電極で応答速度が向上した。これは、多孔質電極におけるガス貫通性能が良いことに起因していると考えられる。
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