二酸化炭素(CO2)吸収・脱離材料としてLi4SiO4を研究した。Siを含む水溶液を用いて液相合成法の一つペチーニ法を用いて試料粉末を合成したところ、本物質のCO2吸収速度が固相反応法で合成した試料とほぼ同じ粒径を持つのにかかわらず、非常に速いことを発見した。この原因についてはSi原料溶液中に微量含まれているナトリウム(Na)の影響である可能性があった。 上記予想に基づいて、Li4SiO4のLiサイトにNaを固溶させたLi4-xNaxSiO4について合成の可能性とCO2吸収脱離特性を評価した。0.0<x<1.0の場合、試料は単斜晶のLi4SiO4と正方晶のLi3NaSiO4の混相となり、Na量の増加に伴ってLi3NaSiO4の分率が高くなっていることが判った。これは両者の結晶構造が全く異なるため、0.0<x<1.0でミシビリティ―ギャップが開き、固溶体となるより混相となった方が熱力学的に安定であるためと考えられる。 Li4NaSiO4単相を合成しCO2の吸収・脱離が起こる温度およびCO2分圧の範囲を熱分析で調査したところ、CO2吸収のおこる範囲はLi4SiO4の場合とほとんど変わらないことが示された。しかしながらCO2吸収速度は2桁ほど高くなっており、Li4SiO4ではCO2吸収が観測されなかった450℃という低温でもCO2吸収が観測され、本物質が低温で作動する新たなCO2吸収材料として有望であることが示された。 またペチーニ法で合成したLi4SiO4が高いCO2吸収速度を示すのは、微量に原料中に存在したNaがLi3NaSiO4を形成するためであることが示唆された。
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