研究課題
高効率ペロブスカイト太陽電池を作製するためのペロブスカイト層に注目して研究を進めた。特に、軽量太陽電池を作製するにあたり、TiO2緻密層を真空製膜したプラスチック基板(ITO-PEN)へメソポーラス層をスピンコートにより塗布し製膜を行った。メソポーラス層用の酸化チタンについては、ブルッカイト型酸化チタン層(一次粒子径15nm)ならびに、アナターゼ型酸化チタン(7nm)の検討を行った。太陽電池用のペロブスカイト層としては、メチルアンモニウムヨウ化鉛(MAPbI3)の基本組成ならびに、このメチル基を、ホルムアミジニウム(FA)、セシウム(Cs)等のカチオンで置換したトリプルカチオン型ペロブスカイトを用いた。低温製膜に用いるメソポーラス層において、その効率に関しては、ブルッカイト型ではMAPbI3, アナターゼ型ではトリプルカチオン型ペロブスカイトとの相性がよいとの結果が得られ、メソポーラス酸化チタン層とペロブスカイト層のバンドマッチングも重要な役割を果たしていることが示唆された。コンパクト層と呼ばれる緻密層酸化チタンには、軽量プラスチック型では、従来、スパッタ製膜した酸化チタン層の有用性について報告してきた。今年度は、それに加えて、酸化スズ分散液の塗布によるコンパクト層の製膜についても検討を進めた。その結果、ITO導電基板上に対して、酸化スズ分散液を塗布した基板の上に、上記ブルッカイト型またはアナターゼ型酸化チタン分散液を塗布して電子輸送層を製膜しペロブスカイト太陽電池を作製したところ、最高で18%の変換効率をえることができた。さらに、この製膜の温度をすべて100℃以下の行う検討も進めた。従来プラスチック基板としてもちいたPENやPETよりさらに耐熱性の低いポリエチレンPEを用いる軽量薄型ペロブスカイト太陽電池の作製法に関する研究も進めた。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)
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