研究実績の概要 |
骨の構成物質であるヒドロキシアパタイト (HAp) は生体適合性を有し、人工骨、デンタルインプラント、細胞培養シートなど、生体材料開発 (再生医療) の観点から注目を集めている。ヒドロキシアパタイトのナノクリスタルは、マイクロクリスタルに比べ、骨芽細胞の癒着とタンパク質の吸着が増加することが知られており、骨や歯根は、コラーゲンのファイバー状の網目構造にナノクリスタルが結合している。こうした観点から、HApとファイバー状材料とのハイブリッドの形成は、バイオミネラリゼーションを模倣した材料として注目を集めている。そこで、本研究では、1,10-ビス(デシロキシ)デカンをコアに有するデンドリマーをカーボンナノチューブに物理修飾したBuckypaperを作製し、その後、HApとの複合化を行った。Buckypaper/HAp複合材料の作製は 複合材料の作製は、0.2 M塩化カルシウム水溶液と0.12 Mリン酸水素ナトリウム水溶液を用い、交互浸漬法により行ったところ、Buckypaper/HAp複合材料を得ることに成功した。複合体の構造決定は、SEM, TEM観察、XRD、EDX分析により行った。さらに、擬似体液中に浸漬し、HApの結晶化を行ったところ、CNT の表面にHApが鱗状に結晶成長している様子がTEMの観察により確認された。CNT の表面をデンドリマーが高密度に修飾しており、 デンドリマーのカルボ キシラー キシラート部位にカルシウムイオンが配位し、 そのカルシウムイオンを中心にHApが結晶成長していると考えられる。さらに本研究では、がん―ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy: BNCT)はとして注目を集めているホウ素クラスターとの複合化を行い、カーボンナノチューブの近赤外蛍光を用いた生体イメージング可能な複合材料の開発にも成功した。
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