研究課題
高容量で安全性の高い全固体リチウムイオン二次電池の開発を目指して、分解溶融酸化物固溶体であるリチウムイオン伝導体酸化物のバルク結晶をTSFZ法により育成し異相のない最適な育成条件を明らかにするとともに、イオン伝導度の異方性やドメインの影響を調べることで、リチウムイオン伝導度劣化のメカニズムを明らかにすることを目的としている。平成30年度は、チタン酸ランタンリチウムLa2/3-xLi3xTiO3 (LLTi)、ニオブ酸ランタンリチウムLa(1-x)/3LixNbO3 (LLNb)、コバルト酸リチウムLiCoO2の単結晶育成について育成条件(特に種結晶を用いたseed育成、溶媒組成)を検討した結果、直径約5mm、長さ30mm以上の大きさでドメイン構造のない単結晶を育成することができた。LLTi育成結晶においてLi濃度x=0.057であり仕込み組成x=0.117の半分以下であるにもかかわらず[110]において1.64 mS/cmの高いイオン伝導性を示した。LLNbにおいては、Li濃度x=0.071であり仕込み組成x=0.10より低いにもかかわらず[100]において0.11 mS/cmであり多結晶体よりも高いイオン伝導性を示した。LiCoO2育成結晶においては、中性子回折によりLiCoO2化学量論組成に近いことが確認された。研究期間全体を通じて実施した研究の成果としては、育成条件の最適化より異相やドメイン構造のないLLTi、LLNb、LiCoO2単結晶の育成に成功した。育成単結晶のイオン伝導度の異方性から、焼結体など多結晶体のイオン伝導度では[001]のイオン伝導度が支配的であり低下させていることが明らかになった。今後は、これらのことを踏まえて単結晶を用いたリチウムイオン二次電池への応用に研究を展開して、次世代の全単結晶リチウムイオン二次電池の開発を目指す。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
Journal of Crystal Growth
巻: 507 ページ: 251-254
10.1016/j.jcrysgro.2018.11.030
Crystal Growth & Design
巻: 19 ページ: 415-420
10.1021/acs.cgd.8b01503
日本結晶成長学会誌
巻: 46 ページ: 46(3)
Royal Society Open Science
巻: 5 ページ: 181445(7)
doi.org/10.1098/rsos.181445
http://nerdb-re.yamanashi.ac.jp/Profiles/339/0033828/profile.html
http://www.inorg.yamanashi.ac.jp/research/16