本研究の目的は、溶液反応化学に立脚してペロブスカイト型構造を有するニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)ナノキューブを合成することである。ナノキューブとは、ナノレベルの大きさを有する立方体の単結晶粒子である。 本研究は3年計画で実施し、1年目は出発原料であるニオブ酸化物のナノ粒子合成を行い、2年目はそのナノ粒子を用いてNaNbO3の合成を行った。2年目の課題として、粒径がやや大きく、凝集が見られたことから、3年目は再び出発原料の粒子形態の検討を行ってNaNbO3のナノキューブ合成を行った。 3年目に実施した主な検討内容として、ニオブ金属を加水分解することによって得られたニオブ酸化物ナノ粒子に対して、焼成を行った。焼成温度に関する情報を得るために、熱分析(TG-DTA)を行って、重量減少や発熱・吸熱反応に関する知見を得た。焼成温度を変えることにより、異なる結晶系(六方晶系、斜方晶系、単斜晶系)の酸化ニオブ(Nb2O5)が得た。また、粒子の形状や大きさがことなるNb2O5(出発原料)を得ることができた。これらの酸化ニオブを原料としてソルボサーマル合成を行うと、NaNbO3粒子を得られた。とくに800℃で焼成した出発原料を用いてソルボサーマル合成を行うと、NaNbO3が得られ、電子顕微鏡観察によりナノキューブであることを確認した。このNaNbO3ナノキューブは、電子回折により単結晶粒子であることを確認した。また、エネルギー分散型X線分析(EDX)より、ナトリウム(Na)、ニオブ(Nb)、酸素(O)で構成されている粒子であることがわかった。
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