研究課題/領域番号 |
16K05949
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
山本 真理 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究主任 (20416332)
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研究分担者 |
高橋 雅也 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 電子材料研究部, 研究主幹 (90416363)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ポーラスシリコン粒子 / 全固体電池 / 負極複合体 / 負極複合体 / 硫化物系固体電解質 |
研究実績の概要 |
H30年度は、H29年度に創製したポーラスシリコン粒子を用い、電極複合体の作製条件の検討、及び全固体電池の特性評価を行った。電極複合体は、ポーラスシリコン粒子と硫化物系固体電解質Li3PS4ガラス、及び導電助剤としてアセチレンブラックを乳鉢、又は振とう機を用いたボールミル(1800 rpm、60分間)により混合した。比較としてミクロンサイズのノンポーラスシリコン粒子を用いて同様の混合方法で負極複合体を作製した。全固体電池の作製は、負極複合体、固体電解質層、及びリチウム-インジウム合金を積層し加圧してペレット型電池とした。ノンポーラスシリコン粒子は、乳鉢、及びボールミル混合のどちらにおいても初回放電容量1760-1960 mAh g-1、初回クーロン効率61-62%と高い値を示したが、100サイクル目の容量維持率は20%以下であった。一方、ポーラスシリコンでは、乳鉢混合の場合、初回放電容量2300 mAh g-1、初回クーロン効率71%とノンポーラスシリコンよりも高く、100サイクル目の容量維持率は52%へ向上した。ボールミル混合では、初回放電容量1240 mAh g-1、初回クーロン効率49%と低下したが、容量維持率は93%と大幅に改善した。ボールミル混合で初回クーロン効率が低下した理由として、ポーラスシリコンが固体電解質マトリックスに均一に分散したことによりシリコン/固体電解質界面の接触面積増加に伴い副反応が増加したことが原因と考えられる。この初回充放電における副反応は以降の充放電では起こらず、高い容量維持率を示す。このことから、多孔質化することで粒子内側への体積増加が起きることによりシリコン/活物質界面剥離が防止できることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
充放電試験に長期間を必要とするため、充放電後の電池についての断面観察が十分に行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
充放電後の断面SEM観察を行い、負極複合体中の活物質/固体電解質界面におけるポーラスとノンポーラスシリコンの違いを調査する。その結果を元に全固体電池に適したシリコンの形態を考案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年研究期間を延長して次年度に断面観察を予定しているが、断面作製用の遮蔽板を購入する必要があるため。
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