・前年度付加した変位センサーおよびデータ処理機能を検証するとともに,一般的な押込み試験結果解析方法とは異なる新規解析手法(本研究とは別件での共同研究において提案済)をヤング率既知の金属基準片に適用した予備試験を実施した.その結果,マイクロからマクロレンジにわたって試験力依存性が極めて少ない正確なヤング率測定が可能であることを明らかにした. ・従来型および昨年度作製した新規多孔性TBC試験片に対して,試験力範囲0.0196Nから196Nでの計装化押込み試験を行った.その結果,上述の新規解析手法を適用してもいずれのTBC試験片において測定ヤング率に試験力依存性が現れることから,この試験力依存性はTBC試験片の微細組織に由来することを明らかにした.加えて,圧子形状の相違に伴い測定ヤング率の試験力依存性も傾向が変化すること,微細組織が異なる従来型TBCおよび新規多孔性TBCでは測定ヤング率の試験力依存性の傾向が異なることを示した.これらの結果に基づき,TBC微細組織での試験力依存性発現メカニズムを推定した. ・マイクロX線CTによるTBC試験片の三次元形状データ測定が十分な分解能を保証した上で実施不可能であることが検討の結果明らかとなったため,走査型電子顕微鏡(SEM)断面観察画像からのTBC断面の二次元形状有限要素法モデル化手法を検討・開発した.作製したTBC二次元有限要素法モデルを用いた押込み試験のサブモデリング弾性応力解析を実施した結果,微細組織上の特徴的形状が応力およびひずみ分布に及ぼす影響を明らかにした. ・関連する研究内容として,TBCトップコート単体試験片に対する4点曲げ試験においても,上述のSEM断面観察画像からのTBC試験片二次元有限要素法モデル作製およびそれを用いた4点曲げ試験のサブモデリング弾性応力解析を実施した.
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