研究課題
本研究では,(1) 生物形態データベースの構築,(2) 生物構造の荷重条件の同定手法の開発,及び(3) 生物形態データベースに基づく最適化法の開発と応用を行った.(1) 生物形態データベースの構築:29年度までに構築した多種多様な生物の構造データからなる生物形態データベースをさらに充実させ,現在までに25種の動物における約200点の骨の3次元モデルデータを作成した.さらに、脊椎動物の骨のデータに限らず,昆虫や甲殻類の外骨格についても,サイズに応じ医療用CTもしくはμCT装置を用いてCT画像を取得し,CT画像から3次元形態モデルを構築した.具体的には、3種の外骨格生物において19点の外骨格部分の3次元モデルデータを作成し,データベースの多様性の拡大と充実を図った.(2) 生物構造の荷重条件・境界条件の検討:29年度までに作成した骨の有限要素モデルを対象として,それが適応している荷重条件の検討を行った.具体例としてキリン頸部を対象とし,データベースに基づきその筋骨格モデルを作成して,ネックスイング動作時の筋活動度及び各関節に発生する関節反力を求めた.その結果から,キリンの頸部関節には極めて大きなせん断荷重が作用することが明らかになり,それに耐えうる関節形態を持つことが示唆された.また,荷重条件の導出における筋骨格モデルの有効性を明らかにした.(3) 生物形態データベースに基づく最適化法の応用:29年度までに,データベースの3次元モデルからメッシュマッチング法を用いて有限要素モデルを作成し,それに基づきベーシスベクトル法により形状最適化を行う手法を開発した.30年度はその手法を用い,具体的な機械構造部品として,衝撃吸収性に優れた杖の最適設計を行った.その結果,単純な円筒形状と比較してムササビ尺骨形状を模した杖の衝撃吸収性が優れていることを明らかにし,開発手法の有効性を確立した.
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