超音波ガイド波は,減衰が小さいことから配管の長手方向に長距離伝搬する特性を有している。このことを利用して効率的な検査手法の研究が進められている。励起源からのガイド波の長距離伝搬特性は前記のとおりであるが,欠陥反射波としてのガイド波は円筒波場となることから伝搬距離の増大による減衰が大きく効率的検査手法の欠点としてあげられる。本手法では,欠陥近傍に非接触手法などの移動が容易な受信センサを設置することで,従来からのガイドは手法をさらに効率的な方法に拡張することを目的に行った。結果として5.5メートルの定尺鋼配管10本分程度まで検査可能であることを実験的に明らかにした。具体的に10本を溶接した配管を準備することは困難であるため,実測した溶接部での透過率を利用し,複数本の配管を伝搬する際の透過率を算定することで,本数に見合ったガイド波の励起検出効率を制御する事で100A鋼配管における長距離ガイドは検出特性を取得している。10本の伝搬後においても,検出感度は半分程度になるものの,センサを欠陥位置近傍におくことで,検査可能であることを示すことが出来た。一方,検査可能性は,欠陥での反射率に依存するのは論を待たないことである。したがって,本研究では,ガイド波の基礎に立ち返り,SH板波とLamb波による反射メカニズムの解明研究を行なっている。反射率と欠陥形状の関連の一部を解明するとともに,欠陥部において散乱したバルク波から再度ガイド波が成長するメカニズムの解明を行うことが出来ている。これらに関しては,国際口頭発表や査読付きの論文を発表することが出来た。
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