研究課題/領域番号 |
16K05984
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
楳田 努 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60305646)
|
研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
|
キーワード | 引張型ホプキンソン棒法試験機 / DIC法 / ひずみ速度依存性 / 試験片形状・寸法 |
研究実績の概要 |
当初の研究実施計画から進捗は遅れているものの、今年度も研究目的に沿って進めた。 (1)引張型ホプキンソン棒法試験機、検力部付き平板試験片 及び 高速度カメラの準備:平成28年度までに準備した試験機本体、高速度カメラ、検証用の検力部付き平板試験片を用いて、引き続きDIC法による測定を検討中(H30年度も継続)。高速撮影では低解像度になる他、露光時間が短く画像が暗くなるため、照明が重要になる。当初使用したメタルハライドランプは輻射熱が大きく、熱せられた空気で画像が歪むため、近接撮影用LEDランプを購入した(購入はH30年度始めにずれ込んだ)。また、試験機本体、試験片取付用アタッチメントの改善も行った。 (2)DIC法プログラミング:市販のデジタルカメラを用いて準静的引張による検証試験を行い、十分な解像度が確保できる場合は計測できている。高速撮影の場合、低解像度の問題を解決するため、プログラミング面からも、高解像度化、評価手法の変更など改善を進めている(H30年度も継続)。 (3)数値計算による試験片形状・寸法の検討:鋼材・樹脂材(PC、PC/ABS)の試験片について、引張試験を実施して材料モデルを構築し、DIC法による測定と比較する計算モデル構築の予備的な検討を行った(H30年度も継続)。
(3)は計画に従い平成29年度から開始したが、(1)の遅れのため、比較・検証はこれからとなる。研究発表については、指導した学生が、日本機械学会 関西学生会 学生卒業研究発表講演会において、同テーマに関連した講演発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究実施計画では、平成28年度にやり残した実施項目を遂行した後、鋼以外の材料への適用のため、材料特性が試験片のひずみ分布に及ぼす影響について、数値解析を中心とする予備的検討を行い、必要なら材料ごとに試験片形状・寸法を変更して検討を進める予定だった。平成28年度10月末からの研究開始だったこともあり、研究の進捗が遅れている。 現状では、使用している高速度カメラのμsオーダのサンプリング間隔における解像度が思ったより低く、十分な解像度が得られていない。ハードウェア面については、高速度カメラのメーカーに問い合わせたり、上位機種のデモ機の貸出も行ってもらったが、解決に至ってない。引き続き、再度の貸出依頼も含めて検討している。ソフトウェア面からは、十分な解像度があればDIC法プログラムは処理できているので、高速撮影時の問題を解決するため、高解像度化、評価手法の変更など改善を進めている。 数値計算は平成29年度から開始し、材料モデル構築のための引張試験の実施、計算モデルの構築がある程度進んでいるものの、DIC法による測定で満足できる結果が得られるまで、比較・検証を実施できない状況にある。 平成29年度から本研究テーマに学生を付け、実験を中心に進めてもらっている。また、数値計算に使用する陽解法FEMプログラムLS-DYNAのレンタル契約は継続されている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度までにやり残した実施項目を遂行し、当初計画していた平成30年度の実施内容をできるだけ進める。非鉄金属材料〔AZ91マグネシウム合金(hcp構造)、A7075ジュラルミン(fcc構造)、β-チタン合金(bcc構造)等〕に対して提案手法による試験を実施する。予備検討で決めた試験片形状・寸法を用い、実験結果に大きな差異を生じた場合は修正して最終的な応力-ひずみ関係を得る。実験を中心に、必要に応じて数値解析も援用し、供試材はその時点での市販品の流通状況を考慮して最終的に判断する。 平成31年度は、樹脂材料〔ポリ乳酸、PC、PC/ABS、PA、等〕に対して提案手法による試験を実施する。ただし、応力棒が鋼材の場合、樹脂材料の発生応力が小さいので応力棒に貼付したひずみゲージからの出力電圧も小さく、SN比が小さくなる。良好な測定精度を実現するため、ジュラルミン(A7075)等の低弾性率材料の応力棒に変更する、前述のように試験片の平行部幅、厚さを大きくする、等の必要な対応を行う。その他の基本方針は非鉄金属材料に対するものと同様とする。平成31年度後半に、それまでの得られた研究成果をまとめる。 各年度に得られた成果は、その都度、国内外の専門誌に論文を投稿するか、国内外の学会、ホームページ等で発表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた近接撮影用LEDランプ,引張型ホプキンソン棒法試験機の改修部品の購入がずれ込み,年度をまたいでしまったため.また,改修部品への試験片取付方法に変更を加えたこともあり,該当年度に予定していた試験片の購入についても次年度に持ち越した.
|