研究課題/領域番号 |
16K05986
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
久森 紀之 上智大学, 理工学部, 准教授 (80317510)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 生体材料 / 医療・福祉 / チタン合金 / 解析・評価 / 機械材料・材料力学 |
研究実績の概要 |
関節運動器インプラントを必要とする患者の急速な増加に伴い,安全性等に関する基本的機能を十分に満足しつつ,患者個々の骨格や骨質,症状等に合わせたカスタムメイドが求められている. カスタムインプラントの製造には,試作品を素早く作るラピッドプロトタイピングを応用した金属積層造形(Additive Manufacturing)が期待されている.材料的観点からは,チタン合金とコバルトクロム合金が股・膝関節の荷重支持部に適用されている. 本研究では,関節運動器の骨形状3DCADデータからチタン合金とコバルトクロム合金の3D造形カスタム関節運動器を造形し,短時間高速フレーム骨類似アパタイト溶射で耐疲労強度化プロセスの確立及び骨伝導能付与技術の一体化創製技術の構築を目的とする. 具体的には,3D造形材には造形時の欠陥が残留する.加えて,骨伝導能に乏しい金属なので,骨と協調・融合する機能性の付与が不可欠である.短時間高速フレームHA溶射によるマルテンサイト変態で,組織の微細化と欠陥の除去で疲労強度・寿命の向上,併せて,擬似骨HAを核付け(極微量定着)した骨伝導機能付加カスタムメイド関節運動器の一体化創製技術の構築を目的とする. 本年度は,昨年度に引き続き人工股関節及び人工膝関節の3D-CADデータを基に,Ti-6Al-4V合金とCo-Cr合金で造形を行った.しかしながら,造形条件や原料粉末の影響で,造形材には欠陥が残留するため高力学化への微細構造制御が必要である.このため,短時間高速フレーム溶射法および,これまでの知見を有する短時間高周波焼入れを行い,マルテンサト変態による組織の微細化を行い,残留欠陥の除去あるいは減少の有無を各種の観察装置を用いて観察を行った.加えて,組織の微細化が高力学化の向上に寄与しているかを評価した.また,擬似体液下で析出するHAの結晶成長速度及び組織学的評価を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
造形条件や原料粉末の影響で,造形材には欠陥が残留する.このため,高力学化への微細構造制御が必要であると考え,短時間高速フレーム溶射法および,これまでの知見を有する短時間高周波焼入れを行い,マルテンサト変態による組織の微細化を行った.結果として,マルテンサイト変態による組織の微細化については当初の計画どおり進展した.しかしながら,残留欠陥の除去はできず,欠陥は残留することがわかった.加えて,欠陥の減少には効果を有することがわかった.このとき,組織の微細化が高力学化の向上に寄与しているかについては,欠陥の存在位置などの影響でばらつきを有する結果が得られた.これら力学特性の向上を目指した試験および評価については,順調に進展している. また,素材自身をチタン合金の変態点以上の温度で熱処理することで残留欠陥を除去できることがわかった.しかしながら,本来有する組織構造ではないことがわかり,これら熱処理材の諸特性を評価する必要がある. 一方,擬似体液下で析出するHAの結晶成長速度及び組織学的評価については,おおむね順調に進展している.詳細な評価およびメカニズムなどについては引き続き実施する.
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今後の研究の推進方策 |
短時間高速フレーム溶射法および,これまでの知見を有する短時間高周波焼入れを行い,マルテンサト変態による組織の微細化を行うことで,マルテンサイト変態による組織の微細化が具体化でき,これによる残留する欠陥の存在を考慮した力学特性の考え方を検討する. これに加えて,欠陥をおおむね除去可能な熱処理プロセスで得られる組織構造の評価を行う. 欠陥が残留することで力学特性が低下することよりも,欠陥を除去できる熱処理プロセスで力学特性を従来材と同程度に維持できることの検討を行う.その際,組織構造が変化するため,同素材の諸特性を評価する. また,擬似体液下で析出するHAの結晶成長速度及び組織学的評価について,詳細な評価およびメカニズムの考察を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の物品費を抑制することができた結果,当初予算を抑えることができた.本予算については,次年度の物品費として計上する予定である.
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