研究課題/領域番号 |
16K05988
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
岡田 裕 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 教授 (50281738)
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研究分担者 |
遊佐 泰紀 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 助教 (70756395)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 溶接継手 / 破壊力学 / J積分 / 重合メッシュ法 / 傾斜機能材料 / 相互積分法 |
研究実績の概要 |
平成28年度は,「J 積分解析手法の高度化研究」と「反復型重合メッシュ法の高度化研究」が主な課題であり,ほぼ予定どおりに研究が進んでいる. 「J 積分解析手法の高度化研究」では,溶接残留応力や熱ひずみの存在とそれらの連続的な変化や材料の機械的性質が連続変化する場合のJ積分解析手法の定式化を終了している.さらに,ひずみエネルギ密度の空間に関する微係数の解析手法についても研究を行ってきた.これらの検討に基づき,弾塑性変形を受ける傾斜機能材料(材料の機械的性質が空間的に変化する問題)の解析に必要なプログラム実装を行った.非線形有限要素法解析は商用有限要素法プログラムを用い,J積分計算はポスト処理プログラムとして実施するものである.数値解析例として,降伏応力や弾性定数が試験片内部で変化するCT試験片の弾塑性有限要素法解析とJ積分計算を行った.提案手法によるJ積分計算の結果,J積分値の積分領域の大きさへの依存はなく,いわゆる「J積分の経路独立性」が保証されたと考えられる.これらの研究成果について国内学会で口頭発表を行ってきた. 「反復型重合メッシュ法の高度化研究」では,予備研究として行っていた二次元問題解析を三次元問題にスケールアップすることに成功している.また,三次元問題へのスケールアップに先立ち,二次元問題により解析精度向上手法の再検討を行い,Mechanical Engineering Journal に投稿,掲載された.さらに,複数のローカルメッシュ領域を有する問題の解析が可能になった.また,反復法による連立一次方程式の解法に関する調査研究を行い,各種反復型解放を提案している反復型重合メッシュ法に実装し,それらの性能評価を収束までの反復回数などにより調査した.これらの研究成果を国際学術誌に投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では,「J 積分解析手法の高度化研究」についての平成28年度研究計画の概要は以下の通りであった.溶接残留応力や熱ひずみの存在とそれらの連続的・不連続な変化の取り扱い,さらに,材料の機械的性質の連続または不連続な空間的変化をなるべく統一的に取り扱うための定式化に関する研究,J積分計算式の第二積分に含まれるひずみエネルギ密度の微係数の計算手法に関する研究である.それらの計画に対して,溶接残留応力や熱ひずみの存在とそれらの連続的な変化や材料の機械的性質が連続変化する場合のJ積分解析手法の定式化を終了し,ひずみエネルギ密度の空間に関する微係数の解析手法の提案を行った.全てではないが,プログラム実装と数値解析を行い,J積分計算の経路独立性の確認も行った.また,学会発表も行うなど,「J 積分解析手法の高度化研究」については概ね順調に進捗していると思われる. 「反復型重合メッシュ法の高度化研究」では,研究計画で策定した,(1) 三次元問題への展開,(2) 複数のローカルメッシュ領域を有する問題への適用ともに完了している.さらに,反復法による連立一次方程式の解法に関する調査研究も実施することができ,順調に進捗していると言える. よって全体としては,「(2)概ね順調に進展している」と言える.
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ研究は概ね順調に進展している.平成29年度は「相互積分法解析手法の高度化研究(弾性係数の空間的変化と残留応力の分布を考慮した相互積分法による混合モード下での応力拡大係数計算法の定式化とプログラム実装)」と「重合メッシュ法の高度化研究(反復型重合メッシュ法を材料非線形問題へ展開)」である. 相互積分法に関する研究は,以前の研究成果「Daimon and Okada, Mixed-mode stress intensity factor evaluation by interaction integral method for quadratic tetrahedral finite element with correction terms, Engineering Fracture Mechanics, Vol. 115, pp. 22-42, 2014」に基づき進めていく.反復型重合メッシュ法については既に非線形問題への拡張研究を進めている.研究自体は順調に進むことを期待している.その他,平成28年度の研究成果の論文投稿など,研究成果の発信活動をより活発に行っていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
数値解析用ワークステーションの購入価格が予想していたよりも若干低かったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は,予定しているデータストレージシステムの購入予算に充当したい.
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