研究課題/領域番号 |
16K05997
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研究機関 | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基 |
研究代表者 |
山浦 真一 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, 能力開発院, 准教授 (50323100)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 磁歪 / アクチュエータ / 強加工 / 集合組織 |
研究実績の概要 |
今年度はまずFe-Co合金の強加工可能性を調べるため、Fe30Co70合金丸棒材の溝ロール圧延を行った。溝ロール圧延絞り加工により著しく集合組織化させたFe30Co70合金丸棒材を作製し、その粒界微細組織をSEM-EBSD/OIM法を用いて解析するとともに、磁歪測定を行い、微細組織と磁歪量の関係を調べた。その結果、Fe30Co70合金では直径12mmの丸棒材(スタート材)を直径6mm→直径4mm→直径2mm→直径1mmの順に細く絞っていくと、直径6mmまで絞った段階で棒材長手方向に各結晶粒の結晶方位が[101]軸にほぼ揃った。さらに、これらの試料の磁歪測定を行った結果、直径2mmまでは、直径を絞るほど磁歪量は増加を示し、直径2mm材で最大115ppmの磁歪量を得た。直径1mm材では磁歪量は若干低下した。本研究で行った丸棒材の絞り加工により、Fe30Co70合金材で磁歪量が90ppm(直径12mm材)→115ppm(直径2mm材)まで上昇することが分かった。 本Fe-Co合金丸棒材を用いて購入装置によるアクチュエータ振動の確認を行い、コイルによる交番磁界によって丸棒が振動することも確認した。今後は振幅の精密測定に取り組みたい。 また、Fe-Co-M合金の探索として、M=Siを添加し、Fe-Co-Si合金の作製を行った。Siの添加により延性が低下するため、Si添加では少量添加による機械的特性の改善を図る方が良いとの結論に達した。さらに、Fe-Co磁歪合金の逆磁歪特性を利用した、アクチュエータと構造的に類似な振動発電機の試作にも傍らで取り組み、成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの研究においては、着目するFe-Co合金の加工性、集合組織についての調査を軸に進めてきた。その中で予備研究による圧延薄板および本研究における丸棒の圧延絞り加工による集合組織の形成、磁歪量の大きな結晶方位と、加工材(圧延・絞り方向)の関係などについて明らかになってきた。今後は、得られた知見を基にFe-Co合金の磁歪量に対する第三元素添加の影響のさらなる調査、アクチュエータ振動実験系の構築について、次年度に向けて行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度から開始している材料探索を引き続き行い、Fe-Co合金の磁歪量および機械的特性に対する第三元素添加の影響をさらに調査し、第三元素添加-加工量-微細組織-磁歪特性・機械的特性の関係を明らかにし、Fe-Co合金の磁歪量の向上と機械的特性の最適化を図る。特に強加工によって形成される集合組織のキャラクタリゼーションに力を注ぎ、例えば結晶粒界に沿った第二相、第三相、マルテンサイト相に着目する。さらに、アクチュエータ振動実験装置の構築、微小な振幅の測定などアクチュエータ創製に向けて取り組んでいく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、初年度には設備備品費として歪み測定装置を計上していたが、導入を予定していた装置を他研究機関で使用できる目途が立ったため、急遽予定を変更し、アクチュエータ用コイルへ電流を流す大電流バイポーラ電源を購入した方が今後の研究の進展に寄与すると考えた。
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次年度使用額の使用計画 |
計画の大きな変更を伴わない。初年度旅費残額、次年度の研究費としては、主に金属素材やアクチュエータ作製用資材などの実験に伴う消耗品(金属地金類、薬品類、ガス類、試料作製装置用および測定・評価用消耗品)の補充が主なものである。旅費については、成果発表と共に研究者交流や情報収集を目的として、計上している。
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