CFRPの加工で主に行なわれているドリルによる切削穴あけ加工において,加工によるバリの発生やCFRPの層間剥離(デラミネーション)が起き易く,また工具そのものの損耗も激しいという問題がある.そのようなCFRPの穴あけ加工に対する,新たな加工工具・加工方法を開発するため,1.研削砥石を利用した超音波振動援用研削,2.静水圧を利用したバリ抑制冶具の開発,3.定圧・定送り制御機構(ハイブリッド送り機構)を持つ加工装置を開発する,という3つの特徴を持つ新たな穴あけ加工システムの設計・開発を行なってきた. H30年度は,主に定圧・定送り制御機構の開発と工具選定を行った.定圧・定送り機構は新たに制御用計算装置を購入し,これを用いた制御機構を開発した.工具選定については,バリや剥離の発生しにくい工具を決めるため,複数の工具を用いた加工実験を行い,最も発生しない工具を選定した. 期間全体について上記の1~3の内容をまとめる.研削砥石を利用した超音波振動援用研削については,超音波振動付加スピンドルおよび加工用砥石の準備は出来たが,ハイブリッド送り機構の開発が大幅に遅れ,超音波付加での加工実験を実現することは出来ず,今後実施する予定である. 静水圧を利用したバリ抑制冶具の開発については,試作冶具として,Z軸方向(上下抑え)可能な冶具を製作し,通常のスピンドルによる加工実験を行ない,その効果を確認することが出来た. ハイブリッド送り機構を持つ加工装置については,3軸加工装置およびサーボモータを利用した定圧・定送り制御機構(ハイブリッド送り機構)の開発を行ない,さらに制御用計算装置を用いた制御機構を開発した.しかし,定送り制御については実現できたが,定圧制御については精度が不十分なため,今後も改善を行う予定である.
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