光造形法はいわゆる,Rapid Prototypingの手法の一つであり,その素材は紫外線硬化樹脂である.造形物をそのまま実用に供する部品とする,いわゆるAdditive Manufacturingの手法とするためには部品の機械的な強度を向上させなければならない.本研究では部品の一端から他端までを炭素繊維で部品形状に沿って強化する製作方法を開発することを目的とした. 本方法ではXYθステージ上に液体樹脂を塗布した基板を置き,この基板に紫外線レーザビームを照射する.ステージを移動することによって設定した経路に沿ってビーム描画を行う.θステージを最も下に設置してレーザビームの光軸とθステージの回転軸を一致させる.θステージの上にXYステージを設置する.このようにすればXYステージが移動してもレーザビームの光軸はθステージの回転軸と常に一致している.炭素繊維の配向方向を変えるときにはθステージを回転させ,レーザビームを描画するときにはXYステージを移動させる. 造形するために樹脂を硬化させるための適切な照射条件は使用する紫外線硬化樹脂によって異なる.本研究では1つの種類の紫外線硬化樹脂について検討した.しかし,この検討過程は他の紫外線硬化樹脂を使用する場合にも適用できる.得られた検討条件をもとにしていくつかの部品を造形した. 次に炭素繊維で強化した部品の強度の改善効果について検討した.造形した部品と同程度の寸法の引張試験片を製作し,この引張試験片のための引張試験機も製作した.炭素繊維を体積含有率でわずか2~3%入れるだけで,引張強度を2倍以上,改善することができた.
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