本申請では,申請者らが見いだしたガラス内の閉空間に発生させたレーザ誘起プラズマをレーザ照射軸に沿って移動させるメカニズムの解明と応用を目的としている. 従来は,ガラス背面に金属箔を設置することで,ガラス裏面からプラズマを形成していた.これに対して,本年は,ガラス内部でレーザ誘起プラズマを起こすために,パルスレーザと連続発振レーザを同軸でガラス内部に集光する方法を検討した.パルスレーザを集光することで高い光強度の際に起きる,多光子吸収により,プラズマをガラス内部に形成できる.このプラズマに連続発振レーザを照射することで,連続発振レーザを吸収させる手法を検討した.この結果,ガラス内部の任意の位置からプラズマを形成できることを示し,照射条件による影響などをあきらかにした.さらに,数値解析により,パルスレーザによる高温部分が連続発振レーザの吸収によりどのように形状変化していく様子を可視化した. また,2つの連続発振レーザをガラス内部で直交させることで,プラズマを分岐する方法について検討した.1つのレーザ光の光軸に沿って光源方向に向かって移動するプラズマがこの交差部分で2つに分かれ,それぞれの光軸にそって光源に向かって移動していく様子を高速度カメラにより観察した.さらに,このプラズマが完全に2つに分離する前に,片方のプラズマを表面に導くことで,プラズマを表面から噴出させ,枝分かれした形状の穴あけを実現した.
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