研究課題/領域番号 |
16K06008
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
田中 繁一 静岡大学, 工学部, 教授 (60197423)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インクリメンタルフォーミング / 板成形 / レーザ援用成形 / 結晶粒微細化 |
研究実績の概要 |
本研究では,インクリメンタルフォーミングの特徴である「繰返し大ひずみ導入」に対して,レーザによる「局所加熱」を導入して,「動的再結晶の発現」と「それによる材料組織(結晶粒微細化等)のCNC制御」に関する基礎的検討を行う.とくに,インクリメンタルフォーミングによる「強加工」とレーザ援用された「動的再結晶」はともに結晶粒微細化の有力な手段であり,ステンレス鋼に対する有効性と相乗効果を明らかにするとともに,結晶粒微細化により強度向上した「安全な歯科・医療補綴物」等への応用を検討する. 「インクリメンタルフォーミング」とは,CNC制御されたスタイラス工具を用いて逐次的に金属薄板を成形するプロセスで,デジタルデータに基づく成形で任意の曲面形状を取得でき,非常に成形限界が高く,数100%を超える巨大ひずみを素材に導入できる.一方で,1000℃を越えるレーザ局所加熱の併用により,製品の局所的な組織制御ができる可能性があり,プロセスを高機能化できる. 最初に,熱伝導有限要素解析を実行して,レーザ加熱に必要なレーザ出力,スポットサイズと走査速度および素材の熱境界条件が加熱温度に及ぼす影響の詳細を調べ,実験装置の諸元の詳細を決定した.続いて,半導体レーザ光源を用いたレーザ加熱熱処理実験のテストベンチを製作し,インクリメンタル成形されたオーステナイトステンレス鋼の結晶粒が微細化することをEBSD解析等を用いて確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最初に,熱伝導に関するFEM解析によりレーザ加熱に必要なレーザ,その光学系および素材境界条件が温度履歴に及ぼす影響の詳細をしらべ,レーザ局所加熱装置の詳細を決定した. 続いて,オフラインで行うレーザ加熱・熱処理実験のテストベンチを製作し,インクリメンタル成形されたオーステナイト・ステンレス鋼の結晶粒が微細化することをEBSD解析を用いて確認した. 本研究の主実験装置である回転型のレーザアシス卜・インクリメンタノレフォーミング装置はおおむね完成しており,材料のEBSD解析の手順もおよそ完了し素板の解析結果を取得しその特性を明かにしたが,従来のインクリメンタノレ成事で導入しているひずみはプレス成形の数倍以上であるが,サブミクロンオーダーを目標としたプロセスにはさらに数倍程度のひずみが必要であることが前らかになった.
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今後の研究の推進方策 |
素材への「大ひずみの繰返し導入」と「レーザ局所選択加熱」を可能とするCNCインクリメンタル成形機の制御ソフトを作成する.さらに,選択的なレーザ局所加熱および他領域を冷却できるファイバーレーザ照射光学系とそのrz位置決め装置の製作および成形機動作との同期運転ソフトを作成する. 続いて,各加工条件が材料組織(結晶粒微細化)に及ぼす影響を明らかにする.つまり,加工温度:T,加工速度(ひずみ速度):ε,変形量(ひずみ):εが組織と力学的特性に及ぼす影響.および「工具パス」と「レーザ加熱スケジュール」が組織変化に及ぼす影響を明らかにする. さらに,より大きな塑性ひずみを製品に導入できる成形プロセスの開発:他の動的再結晶発現プロセスでは,真ひずみで4以上のひずみが使用されている.ゆえに,インクリメンタル成形プロセスでより大きなひずみを導入できる繰り返し(余剰)成形プロセスを開発する.続いて,高ひずみプロセスで得られる製品のEBSD解析:上記のプロセスで得られる製品の「動的再結晶発現」を,EBSD法を用いて調査する.
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