研究課題/領域番号 |
16K06016
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
屋我 実 琉球大学, 工学部, 教授 (60220117)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 水中ウォータージェット / 高圧空気 / 同心円2重噴流 / 噴流よどみ点圧力 |
研究実績の概要 |
本研究は現有の150気圧の高水圧を発生させる水用ポンプと7気圧の圧縮空気を発生させる圧縮機を併用することで、所期実験条件を実現することができた。その条件を用いて水中における定量的な実験を行い、可視化を含めて多角的に検討するための実験結果を得た。 まず水中において、中心から水のみを噴射するときに噴射の様子から、水中において噴流が広がる広がり角は大気中に吹き出す場合のそれに比べて大きくなっていることが確認できた。これは、通常の同じ流体中に噴射する噴流の広がり角とほぼ同じであるこから、噴流の広がり角は圧力によってほとんど変化を受けないことがわかった。 また水と同時に7気圧の高圧空気をその周りから同心円状に噴射した場合の噴流の広がり角もほとんど変わらないが、空気の噴射により泡が噴流周りに広がることで、噴流境界が不明確になることから、より詳細で正確な評価が必要であると考える。 さらに、噴流に対面してターゲットを設置した場合の噴流軸上のよどみ点圧力を測定した。その距離はノズル直径の1倍、3倍、5倍および10倍の距離で測った。その結果、水と空気を同時に噴射した場合、噴流中心のよどみ点圧力は距離が増えるに従い、増減することから圧力が最大値が発生する距離があることが分かった。またノズルとターゲットの距離が10倍の場合は、噴流の影響はほぼなくなり周りの圧力とほぼ同じになることが分かった。 以上のことから、水中におけるWater Jetの性能維持のために製作した2重同心円状のノズルは、定性的に予想通りの流れ場となっているが、改良のためには定量的は検討も必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度であることから、まずノズル固定用のフレーム作成は通常の設計で遂行できたが、これまで扱ったことのない150気圧の水を扱うための配管や圧力測定用チューブやセンサーの選定や設計、製作に多少時間を要した。それと並行して、流れ場の様子をとらえる工学観察は順調に始めることができた。ただし上記工学観察は水中における水のみの振る舞いは可能であるものの、水に加えてその周りに空気を噴射した場合はかなり不鮮明になることから、別の工学観察方法か高速度カメラが必要と考えられる。 また定量的な測定として対抗するターゲット板上の圧力を測定する際、ノズル直径が1mmであるため、ノズルからターゲット板の距離を正確に設定することもかなり困難であり、スペーサー等通常の衝突噴流としての測定とはかなりことなり、時間を要した点も挙げられる。 ただし平成28年度は本研究テーマを遂行したことでコンンピュータによる測定用圧力センサーやAD変換機、その制御用ソフトの構築、データ解析手法等、ほぼすべてのノウハウに目途をつけることができたため、おおむね順調に進んでいると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
本テーマで用いるWater Jet用ノズルは同心円状に2重の穴から水と空気がでる構造になっており、内側の水が噴射する穴の直径は1mmである。したがってまず対面するターゲットとの距離が直径の1倍から10倍の実験する場合でも、その距離の精度は比較的に困難となる。したがってより精度のいいセッティングを行いながら細かく移動しながら圧力を測定し、多くのパラメータにおいて実験結果を取得することが重要であり、そのためのノウハウの蓄積を目指す。また、噴流の水や空気の出口付近は端面が垂直になっているため、噴出直後に剥離することで空気の流れが水の噴流に滑らかに下流に向かわないことから、2つの流体が乱れ起こさずに噴流下流に向かう出口の設計も必要である。 さらに、商用の流体シミュレーションソフトを用いて、ノズル出口から噴射直後の流れの様子を詳細に調べることを検討している。これは肉厚1mmで直径1mmのノズルの場合、相対的に出口近傍が大きく乱れることが予想されることから、その乱れの抑制するためのノズル出口形状や空気の役割を明らかにする。さらに空気の圧力やノズルとターゲット板の距離を変化させ、Water Jetとして最も性能を発揮できる条件を調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度が初年で、実験装置の設計・作成・調整を慎重に行い、比較的に性能のいい物品や精度のいい部品を使用したため申請時に比べ物品費が計画より多く執行された。一方で謝金やその他の項目についての支出が無かったため、最終的に合計で約8万円の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額の使用計画は本年度すでに中長期的な計画をたてて執行予定で、物品購入は前年度ほど多くは購入しないため、当初計画からあまりずれないと考えてられる。また、本年度は多くの成果が得られると考えられるため、その成果発表や投稿のための支出に次年度使用額を充てる予定である。
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