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2016 年度 実施状況報告書

高周波誘導加熱・レーザー重畳によるCFRTP成形法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K06019
研究機関日本工業大学

研究代表者

安原 鋭幸  日本工業大学, 工学部, 教授 (70282829)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード炭素繊維強化熱可塑性プラスチック / 穴あけ加工 / 炭素繊維の切断 / 高周波誘導加熱
研究実績の概要

今年度は、本研究の大前提となる連続繊維強化プラスチックにおける繊維の切断が強度に与える影響について調べた。
軽量素材として注目されている炭素繊維複合熱可塑性プラスチック(CFRTP)シートに穴あけ加工を行う際に繊維の切断が強度にどのように影響するかについて強度を調べた。直径5mmの炭素繊維複合材料用ドリルと、マトリクス樹脂にポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用いたCFRTPシートを200℃まで加熱して、長さ80mmでテーパ角1°の形状のキリを用いて繊維を開けた穴を作製して、S45C板とボルトで締結した試験片を万能試験機で引張試験を行った。
平織りのシートの交点に選択的に、キリの先端を合わせて穴をあけた試験片は、厚さ方向に繊維とマトリクス樹脂の偏りが生じるため、冷却時にシートに荷重を残したまま冷却して厚さの変動を極力抑えた。
シート一枚の厚さは0.3mmであり、加熱することにより1,2,3層の積層CFRTPのシートを作製して、それぞれに直径5mmの穴を加工した。万能試験機による引張試験結果は次の通りである。1層の場合、最大荷重が約1500Nと約900N、2層の場合、約2900Nと約1900N、3層の場合、約4100Nと3300Nとなり、繊維の切断を極力抑えて穴をあけたCFRTPシートはいずれの積層数の場合も、ドリルで穴をあけた場合の試験片よりも、最大荷重が大きくなることがわかった。このことから繊維の切断がCFRTPシートの強度低下につながるため、なるべく繊維を切断せずに加工することが重要となる。しかし、積層数が増えると繊維の切断を極力抑えたことによる強度の優位性が小さくなることがわかった。これは、積層数が増えることによって、破壊は表面から進展するため厚さが増加すると表面の影響が小さくなるためと思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

繊維の切断を抑えた穴あけ加工において、厚さ方向の板厚の変動や炭素繊維の偏りを抑えることに想定以上に時間がかかってしまい、三次元形状付与の実験の準備が遅れてしまった。
また、購入予定のCO2レーザーを試験的にCFRTPシートに照射した際にシートの上昇温度が想定よりも高かったため、繊維にダメージを与えてしまうことがわかり、レーザー加工機の機種選定、高周波誘導加熱装置(既存設備)の配置、逐次成形用のXYZステージなどの選定および配置を全面的に見直さなくてはならなくなったため。

今後の研究の推進方策

CFRTPシートにおける炭素繊維の切断が、シートの強度に多大な影響を与えることがわかったため、より簡便に穴あけ加工が行える方法について再度検討を行う予定である。
今年度は、早急に、レーザー加工機、XYZステージの選定を終了させ、高周波誘導加熱装置、レーザー加工機、XYZステージをそれぞれを適切に稼働させ、逐次成形によるカップ形状のような3次元加工また、同時に数mmの穴あけ加工が同時に行えるような検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

レーザー加工機の購入を予定していたが、予備実験でCO2レーザを照射したところ炭素繊維強化プラスチックシートの上昇温度が予想以上に高かく、炭素繊維に大きなダメージを与えることがわかり、機種選定に時間を要してしまった。

次年度使用額の使用計画

照射するレーザの出力を調整することができれば,炭素繊維のダメージを抑え,マトリクス樹脂が軟化する程度の温度上昇に抑えることで、本来予定していた実験を遂行できることがわかった.今後は,当初の計画通りにレーザー加工機を購入して逐次成形による三次元形状付与の実験を進める予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 高周波誘導加熱によるCFRTPとアルミニウム合金の接合法の検討2017

    • 著者名/発表者名
      安原鋭幸
    • 学会等名
      日本塑性加工学会 プラスチックプロセス分科会 第90回研究会
    • 発表場所
      山形大学 東京サテライト
    • 年月日
      2017-03-17

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公開日: 2018-01-16  

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