研究課題/領域番号 |
16K06025
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
寺島 岳史 神奈川大学, 工学部, 准教授 (10402992)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 金属ガラス / 過冷却状態 / 接合 |
研究実績の概要 |
前年度は接合試験片としてZr55Al10Ni5Cu30金属ガラスの接合性について検討を行ったが、Zr基金属ガラスは大気中で加熱することにより酸化被膜を形成しやすいという特徴があり、接合の観点からは必ずしも適した材料とはいえなかった。そこで本年度は酸化被膜を形成しにくいAu基金属ガラス試験片を作製し、試験片に用いることを前提として熱的安定性を評価することを目的とした。 金属ガラスの合金組成はAu65Cu13Ag5Si17、Au60Cu15.5Ag7.5Si17、Au55Cu18Ag10Si17、Au50Cu20.5Ag12.5Si17とし、その母合金を真空鋳造して20×10×1mmの板状試験片を作製した。X線回折とDSCの結果からAu50Cu20.5Ag12.5Si17は結晶化したが、それ以外の合金は金属ガラスを形成することが分かった。Au65Cu13Ag5Si17、Au60Cu15.5Ag7.5Si17、Au55Cu18Ag10Si17のガラス遷移温度Tgはそれぞれ78℃、85℃、92℃、結晶化温度Txはそれぞれ105℃、120℃、130℃であった。また過冷却状態の潜伏時間を明らかにするために時間温度変態(TTT)曲線を作成した。TTT曲線はDSCにより所定の温度まで急昇温し、その後温度を維持して結晶化の放熱ピークが現れるまでの時間を測定して過冷却の潜伏時間とした。その潜伏時間と時間と温度の関係をプロットしてTTT曲線を作成した。その結果100℃における過冷却状態の潜伏時間はAu65Cu13Ag5Si17、Au60Cu15.5Ag7.5Si17、Au55Cu18Ag10Si17はそれぞれ170秒、1900秒、2100秒であり、比較的安定な過冷却状態を有することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調である。 AuCuAgSi金属ガラス合金は熱的安定性の観点から接合試験片に適していることが分かった。しかし実際にヒートガン加熱による過冷却接合が行えておらず、早々に実施する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
ヒートガン加熱による金属ガラスの過冷却液体状態接合を実施するにあたり、まずはヒートガンのセットアップを行う。接合条件は作製したTTT線図(温度時間相変態図)をもとに決定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究計画の変更に伴い材料費に使用が偏ったため未使用が生じた。研究費を有効に執行するため次年度に繰り越した。 (使用計画) 消耗品を購入する。
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