研究課題/領域番号 |
16K06035
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
Youn SungーWon 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 集積マイクロシステム研究センター, 主任研究員 (80510065)
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研究分担者 |
鈴木 健太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 集積マイクロシステム研究センター, 研究員 (60709509)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ナノインプリントリソグラフィ / 残膜均一化 / モールド設計技術 |
研究実績の概要 |
光ナノインプリント(UV-NIL)技術を多種多様なデバイスに適用するには、高速充填や欠陥(バブル欠陥や不均一残膜分布)の低減によるプロセスの高スループットや低コスト化が重要である。本研究の目的は、ナノインプリント領域全域に対しての充填挙動を明らかにすることによって、凝縮性ガスを用いるUV-NILにおいて、高速充填や残膜均一化を可能にするリソグラフィ用モールドの設計技術の高度化を図ることである。 平成28年度には、UV-NILにおいて、所望パターン密度分布が不均一であっても残膜分布を均一にすることが可能である容積均一化モールドを研究対象に取り上げ、その設計手法の自動化アルゴリズムを提案した。その有効性を検証するため、CADソフトウェア上で駆動する補正パターンジェネレーターを試作した。テスト図面により生成された補正パターンに対して、数値シミュレーションや理論・従来実験結果等との比較を行うことによって、妥当性を検証し、その結果を論文として発表した。 容積均一化モールドの設計手法では、モールド表面を指定サイズの領域に分割し、各分割領域(粒度)内の容積を均一化するための2段目補正パターンを生成する。ここで、粒度の形状やサイズは残膜厚分布と充填時間に大きい影響を及ぼす因子である。そのため、上記補正パターンジェネレーターやナノインプリント解析用ソフトウェアを併用し、容積均一化効果の粒度等、異なる補正パターン形状および粘度条件に対しての成形特性の依存性を調べ、充填時間と粒度サイズの関係、粘度-充填時間-残膜均一化効果の関係等を明らかにした。この結果に関しては近く口頭発表および論文の形で公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の今年度の研究計画は、(1)2段深さ容積均一化モールドの作製において、数値シミュレーションによる補正パターン設計技術の高度化を行い、実験検証や理論・従来実験結果との比較を通してその妥当性を検証すること、(2)モールド全域での充填挙動の観察用の暗視野観察システムを構築することであった。 今年度には、補正前後のテストパターン図面ファイルを用いたナノインプリントシミュレーションを通して、残膜分布の標準偏差を1/3以下に低減できることを示した。また、容積均一化モールドパターンの自動設計アルゴリズムを構築し、補正パターンジェネレーターを試作することにより、汎用性を高めた。さらに、市販のUV-NILシミュレーションソフトウェアを併用することによって、補正後の残膜厚均一化や充填時間減少効果を予測できるようにした。 モールド全域での充填挙動の観察用の暗視野観察システムの構築においては、基礎成形テストや各種治具作成等を行った。
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今後の研究の推進方策 |
H28の進捗状況から、解決すべき課題として、2段目補正パターンのエッチング深さを柔軟に制御できる補正パターン生成手法が考えられる。平成29年度には、その対応として、2次元ダミーパターン生成法を併用したハイブリッド補正技術を提案する。それにより、実装配線やロジック回路等、実デバイスに近いパターンの作製において、高速充填や均一膜厚分布が得られるモールド図面案を作成し、数値シミュレーションを通して評価・改良する。また、2段モールドの作製手法を構築した上、最適化したデザインでモールドを試作し、UV-NIL成形実験や実時間観察システム等を用いる検証実験により、モールド全領域においての充填速度や残膜厚分布を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
暗視野照明を用いる実時間観察システムにおいて、実時間画像習得機能の高性能化を行う予定であった。しかし、今年度のテストパターンを用いたUV-NIL実験では、既存システムの性能でも対応可能であったため、実時間画像習得機能の高性能化はテストデバイスモールドの作製が行われる次年度に行うことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
モールド全域での充填挙動の観察に使用する暗視野観察システムの性能向上を目指して、新たなカメラシステムや制御システムの導入に使用する。
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