研究課題/領域番号 |
16K06046
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
土屋 淳一 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (70155406)
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研究分担者 |
安田 恵一郎 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (30220148)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 最適設計 / 統合型最適化 / メタヒューリスティクス / モデリング / 電磁界解析シミュレータ / Differential Evolution / RBF Network |
研究実績の概要 |
これまでの研究実績の概要は以下の通りである。 1.離散構造と多目的性を考慮可能なDifferential Evolutionの開発と評価:Differential Evolution (DE)は,単一目的・連続型最適化問題を解くための手法として開発され,その探索性能はGenetic Algorithm (GA)やParticle Swarm Optimization (PSO)と同等以上の性能を有する。DEの離散化と多目的化に関する基礎検討および成果を踏まえてDEの離散化と多目的化への拡張を行なった。 2.最適化の過程における探索点履歴情報を活用した最適化とモデリングの融合:Radial Basis Function Networkによるモデリングは,設計空間における平均的な精度を向上させることを目的とした通常のモデリングとは異なり,「最適化にとって有用な偏り構造を持ったモデリング」が必要となる。そこで,最適化アルゴリズムが最適化の過程で生成する偏り構造を持つデータ構造を補完するような新たなサンプル点配置手法に関する検討を進め,その成果を踏まえ,探索点履歴情報を活用した離散構造と多目的性を考慮可能な,新たな最適化とモデリングの結合・融合を検討した。 3.離散構造と多目的性を考慮した新たな統合型最適化システムの基礎検討:上記の成果を踏まえ,離散化と多目的化に対する拡張を行なったDifferential EvolutionとRadial Basis Function Networkによるモデリングを,最適化による探索履歴情報を活用して統合することで,離散構造と多目的性を考慮した新たな統合型最適化システムを構築し,ベンチマーク問題を用いて検証した。 4.統合型最適化を用いた最適設計システムの構築:上記の研究成果を踏まえ,実際の電磁アクチュエータの最適設計を行い,その成果を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本申請課題は,決定変数の離散構造と目的関数の多目的性をも考慮した新たな統合型最適化システムの構築と電磁機器の最適設計への応用を目指しており,これまで,以下の研究課題についてほぼ達成した。 (1) 決定変数の離散構造と目的関数の多目的性を考慮可能なDifferential Evolutionの開発と評価。多目的最適化においては,パレートフロンティアにおける非劣解の選択とアーカイビングが,探索過程における探索性能と最終的に得られる解集合の最適性と一様性に大きな影響を与える。本研究では,進化型多目的最適化分野で最もよく用いられている手法の一つであるCrowding Tournament選択を用いた。 (2) 最適化の過程により生成される探索点履歴情報を活用した最適化とモデリングの融合。最適化アルゴリズムが最適化の過程で生成する偏り構造を持つデータ構造を補完するような新たなサンプル点配置手法に関する検討を進め,その成果を踏まえ,探索点履歴情報を活用した離散構造と多目的性を考慮可能な,新たな最適化とモデリングの結合・融合を検討した。 (3) 離散構造と多目的性を考慮した新たな統合型最適化システムの基礎検討と検証。Differential EvolutionとRadial Basis Function Networkによるモデリングを,最適化による探索履歴情報を活用して統合することで,離散構造と多目的性を考慮した新たな統合型最適化システムを構築し,ベンチマーク問題を用いて検証した。 本課題は,おおむね順調に進展しており,成果を昨年の電気学会C部門大会の企画セッションにおいて発表する予定であったが,北海道胆振東部地震が起き日程がキャンセルになったため,今年発表する予定であり,また,論文を投稿しており掲載等が翌年度となる為,期間の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は,以下の通りである。 (1) 構築した統合型最適化を用いた最適設計システムの構築と性能評価:前年度までに得られた統合型最適化を用いた最適設計システムを構築し、電磁界解析シミュレータによるモータの最適設計を行う。推力・推力リップルなどの性能が目標値をクリアしているかを検証し,必要に応じて再モデリングやシステムの再構築を検討する。 (2) 離散構造と多目的性を考慮した新たな統合型最適化システムの検証と改良:前年度までに開発した決定変数の離散構造と目的関数の多目的性を考慮可能なDifferential Evolutionの更なる改良を進めると同時に,典型的なベンチマーク問題を用いて構築した最適化システムの性能を検証する。最適化により生成される探索点履歴情報を活用したサンプル点追加戦略に基づいてDifferential EvolutionとRadial Basis Function Networkを融合させることで,離散構造と多目的性を考慮した新たな統合型最適化システムを構築する。 (3) 最適設計システムを用いていたモータの最適設計,および試作と性能評価:最終年度には,前年度までに得られた最適設計システムを用いて,実際にモータを試作し,推力・推力リップル・鉄損などの諸性能が設計に近い状態で実現されているかを検証する。 (4) 昨年の電気学会C部門大会の企画セッションにおいて発表する予定であった成果を本年度発表予定である。また,論文を投稿しており掲載等が本年度となる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年,電気学会C部門大会の企画セッションにおいて発表し,関連分野の研究者と意見交換することにより,本研究を精緻に達成する予定であったが,北海道胆振東部地震が起き日程がキャンセルになったため,今年参加する予定である。また,論文を投稿しており掲載となると支払いが次年度となるため,期間の延長を申請した。
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