研究実績の概要 |
近年、次世代ハイブリッド自動車や電気自動車用の駆動用モータとして、SR(Switched Reluctance)モータが注目されている。このSRモータは、回転子、コイルと制御装置により構成され、永久磁石を必要としないため、レアアースの入手性や価格高騰のリスクが生じないが、回転子に突起の付いた複雑形状の回転子を用いる必要があるため、モータの小型・高出力化にともなう高速回転化に際して、風損や風切音の増加が問題となっている。 そこで本研究では、減圧機能を有する非接触シール機構(スパイラル溝粘性ポンプと動圧軸受を組みあわせた非接触粘性ポンプ)で、モータ回転子の周囲圧力を減圧することによる風損低減法を提案した。そしてその有効性を検証し、15,000 rpmの回転数にて0.3気圧程度の減圧が可能であることを示した。また本研究においては、減圧機構を組み立てやすくするために従来の構造を変更し、減圧機能を有する非接触シール機構をモータ外部に設置可能な新規構造を提案し、その減圧特性について数値的、実験的な検討を行った。 結果として、(1). 実験により、回転数25,000 rpm、シールすきま16 umにおいて0.3気圧以上の減圧を確認した。また数値計算においては0.9気圧以上減圧できることを確認した。減圧量は、回転数の増加とシールすきまの減少にともない増加するが、シールすきまの影響のほうが大きいことが明らかになった。(2). 減圧量の過渡特性は、回転数とシールすきまの影響を受け、回転数の増加とシールすきまの減少にともない最終到達圧力に達するまでの時間は増加することを示した。 よって本研究により提案する減圧機構を用いることで、高速回転するモータの風損を減じ動力消費量を低減できることが明らかとなり、その有効性を確認することができた。
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