油膜で起こる放電を発光として観察できるボールオンディスク式の発光実験において、発光を自動検出するプログラムを開発した。本プログラムでは、これまでの人の目による発光検出に比べ、処理速度が100倍程度速くなり、多量のデータ解析が可能となった。これまでの発光実験では、ディスク1周以下の処女面に限定して放電特性を調べていた。今回、発光自動検出プログラムを用いることで、ディスク2周目以降の放電特性が明らかになってきた。ディスク2周目以降では、放電エネルギー(発光時の電流・電圧・時間の積)がピークとなる油膜厚さが厚くなると共に、放電エネルギーが大きくなるという実験結果を得た。 これまで、発光実験での放電し易い油膜厚さ(0.3~0.8ミクロン)と、軸受での電食し易い(すなわち放電し易い)油膜厚さ(1.0~3.0ミクロン)が3倍程度異なることの理由が分からなかった。ディスク2周目以降では、発光により生じる放電ピットによって表面粗さが大きくなりΛ値(油膜厚さ/表面粗さ)が小さくなると共に、放電ピットによる電界集中の影響もあり、発光回数が増加するものと考えられる。これが、処女面のみで実施していた発光実験と、繰り返し回転することで生じる軸受の電食の、放電し易い油膜厚さが異なる理由と考えている。 洗濯板状電食痕は、軸受が繰り返し回転することにより生じている。今後は、ディスク2周目以降での放電特性をより詳しく調べていく予定である。
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