研究課題/領域番号 |
16K06062
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
田中 淑晴 豊田工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (70455137)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 球体歯車 / 位置決め |
研究実績の概要 |
多自由度にかみ合い角度を変化させることができる球体歯車対の伝達挙動を明らかにするため,平成29年度は実験装置2号機の設計と製作を行った.実験装置2号機は,1号機の中心間距離を正確に固定できない,回転負荷となる制動力を与える手法の問題,軸継手の剛性不足などを解消した設計とした. 本年度は,1.球体歯車同士のかみ合わせ時におけるトルク変動,角度と速度伝達へ及ぼす影響調査,2.交差角の変化時と平行移動時のトルク変動,角度と速度伝達へ及ぼす影響調査が実施予定であったが,平行移動時の挙動の測定は終えていない.実験は,オープンループ制御において,モータへ正弦波状のトルク入力指令を与え,そのときのモータ―主動歯車間のトルク,モータの回転角,従動歯車―負荷装置間のトルク,従動歯車の回転角を測定した. 1.球体歯車同士のかみ合わせ時におけるトルク変動,角度と速度伝達へ及ぼす影響調査について,交差角が0°のとき,制動負荷トルクを約0.17,0.24,0.4Nmと変化させ,それぞれの条件において,トルク入力指令の振幅をモータの定格トルクの20,40,60%とした.その結果,設計値から算出された角度バックラッシと実験から得た角度バックラッシがおおむね一致した. 2.交差角の変化時と平行移動時のトルク変動,角度と速度伝達へ及ぼす影響調査について,軸交差角度を10,20,30°と変化させ,上記と同様の実験を行い,軸交差角度を変化させると角度バックラッシも変化することが確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は,球体歯車同士のかみ合わせ時におけるトルク変動,角度と速度伝達比へ及ぼす影響の調査,軸交差角の変化時と平行移動時のトルク変動,角度と速度伝達比へ及ぼす影響の調査を目的とした.そのために,平成28年度に実験装置1号機の設計と製作を行い球体歯車対の基礎特性を測定するための伝達トルクや伝達角度などを測定するための基本的な実験を実施した.その結果を踏まえ,平成29年度は実験装置2号機の設計と製作を行い測定実験を実施したが,歯車対の軸交差角度を固定する位置について設計段階での不備が見つかったため,再設計と製作を終え再実験を実施している.
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今後の研究の推進方策 |
実験装置2号機を改良した装置において,軸交差角度を変化させた状態における角度バックラッシやトルク伝達特性などの測定を終えているため,それらのデータを活用して種々の位置決め制御手法を適用し,最適な補償制御を用いて精密位置決めの達成を目的とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画を遂行するために前倒しして制御用コントローラを購入する必要があったため,差額が生じた.その差額と次年度使用額を合わせ制御用コントローラに制御器を実装するために必要な実験を行うための物品を購入する予定である.
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