研究課題/領域番号 |
16K06071
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
木綿 隆弘 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40225107)
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研究分担者 |
小松 信義 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (20436827)
河野 孝昭 金沢大学, サステナブルエネルギー研究センター, 准教授 (90630921)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 噴流 / 非円形多孔ノズル / タブ / 渦干渉 / パッシブ制御 / 空力騒音 / 流体計測 / 数値流体解析 |
研究実績の概要 |
円孔が多数開いた整流用多孔板(パンチングメタル)は、送風機出口や吸込側のフィルターや安全カバー、ベランダの目隠しや防風柵等として使用されている。この多孔板に空気が通過する際にはシューッという流体騒音が問題となる。本研究では、複数個の噴流が集まった流れ場の3次元的渦干渉による混合拡散効果を解明し、渦相互の干渉による早期混合拡散効果を利用した広帯域周波数特性を有する多孔板の穴形状(径違い円形、楕円形等、配列パターン)を特定し、穴加工時のバリを利用した3次元的突起ノズル形状を組み合わせることで、最適な穴形状の配列パターンを採用した流体騒音が小さい整流用多孔板を開発する。 今年度は、薄い平板に穴加工した複数噴流の3次元的な流れ場の計測を行い、円形多孔噴流の千鳥・並行配列の影響、4行×4列、6行×6列、8行×8列の円形多孔噴流の穴の個数を変えることによる影響、楕円形ノズルからの多孔噴流による渦輪の非円形効果を実験で調べた。その結果、千鳥・並行配列や、円形多孔噴流の穴個数を変えても中心軸面内での速度分布に大差がないこと。楕円形多孔噴流で、ノズル近傍でスイッチング現象が生じるため、下流域では円形ノズルからの多孔噴流よりも速度分布が早く発達する傾向があること。さらに、SST k-ωモデルを用いた数値流体解析によって、円形及び楕円形の多孔噴流の定常流れ場を計算した結果、噴流の3次元変形混合発達過程が明らかとなり、楕円形ノズルの短軸と長軸を交互に入れかえた配置の多孔噴流では、スイッチング現象が生じないことを見出した。また、噴流騒音の計測に関しては無響室の改造を実施し、数値流体解析において多孔噴流から騒音解析を行い、噴流からの騒音はノズル出口付近の渦構造に起因することを示した。 以上の結果は、平成30年9月の可視化情報学会、11月の日本機械学会流体工学部門講演会にて報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
噴流の騒音計測実験が未実施であったが、現在実験準備は整って、計測を行っている。平成30年5月末には結果が得られる。また、数値流体解析もSST k-ωモデルを用いた乱流計算は行えているが、非定常な渦構造の解析が可能となるようにLESによる数値流体解析の準備をしている。しかし、流れ場の3次元計測、LESによる数値流体解析には時間を要するため、協力する大学院生の人数を増やすことで、最終年度である今年度には計画どおり実行する。
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今後の研究の推進方策 |
3年目の平成30年度は、昨年度積み残した多孔噴流からの騒音計測実験を5月中に調べる。それらの結果から、先ずは、ノズルの穴形状、配列パターンと騒音の関係を調べ、流れ場と騒音との関係を明らかにする。それらの結果を踏まえて、今年度は、山形状などの立体的ノズル、つまりタブ付きノズルからの複数噴流の渦輪の非一様曲率による三次元的変形効果に着目する。 具体的には、(1)多孔板に縦渦の効果を入れるために、山形状ノズルを3Dプリンターで、はめ込み式のキャップ状突起物を作成して、X形熱線プローブとPIVにより、噴流群の速度・乱れ分布と渦構造との対応を調べ、タブ数や角度の影響を実験的に明らかにする。さらに、タブ付き複数噴流における流体騒音の騒音レベルの変化、スペクトル分布、音源を、低騒音風洞装置において調べる。 (2)数値解析による複数噴流の渦構造と音場の把握において、実験で特徴がある条件で、ANSYS Fluentを用いて、非定常3次元の乱流数値解析を行い、実験データと比較検討し、渦構造と騒音発生源について明らかにする。最終的に、低騒音な多孔板の孔形状(配置)を明らかにする。
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