研究課題/領域番号 |
16K06086
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
青木 俊之 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (20150922)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 圧力波 / 非線形現象 / 境界層 / トンネル騒音 / 圧縮波 / 衝撃波 |
研究実績の概要 |
本研究では、極めて長い管路内を伝播する圧力波の非線形伝播特性、特に圧力波の波面の圧力変動現象に及ぼす初期圧力波の強さなどの波面構造の影響を明らかにする。 今年度の研究成果は以下の通りである。 1. 現有の波動シミュレーターの圧縮波発生用を用いて広い範囲の初期圧縮波および衝撃波(初期強さ2.58kPa~36.5kPa)が安定的に発生できるように改良制作する。すなわち、圧力波発生用急速開口弁の開口弁加速度、開口時間び開口弁前後の圧力比などの実験条件を変化させ圧縮波を発生する実験を行い、初期条件としての任意の強さの圧縮波波形に関する基礎的資料を得た。 2. 極めて長い管路内を伝播する圧力波の距離減衰・非線形特性を解明するために、本研究室で開発してきた波動シミュレーターを、二種類のスケールモデル実験装置(断面56×56mmの矩形断面管路の長さ (73m) と内径の比が1000以上)、(内径16mmの円形断面の長さ (100m) と内径の比が5000以上)に改良・作成した。特に、矩形断面管路では本研究室で開発したレー ザー差動干渉計を、矩形断面管路に 適用できるように設定した。 3. 長い管路内を非線形伝播する圧縮波の減衰と変形を測定し、衝撃波が発生すると距離減衰が影響を受けることを実験的に示した。非定常境界層内の密度プロファイルが層流から乱流へ遷移するときに現れる密度上昇領域を、レーザー差動干渉計によって検出することができた。境界層の遷移開始時間と圧力波形の減衰開始の時間を関係により、非定常境界層の遷移が圧力波形に影響を与えているということが確認できた。波面の圧力変動現象すなわち圧力のオーバーシュートにおける圧力損失が圧力波強さに占める割合は、初期圧力波が強くなるほど大きくなるがさらに強くなるとほぼ一定値になることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほば予定通りに研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの成果を踏まえ、本研究室で開発したレーザー差動干渉計を用い、極めて長い管路内を伝播する圧力波の波動伝播、特に圧力波の背後の圧力変動現象に対する圧力波背後の非定常境界層流れの層流・乱流遷移の影響を明らかにする。 1. 前年度設置した波動シミュレーターの波動伝播管(矩形管、断面56×56mm)を用い、レーザー差動干渉計により伝播圧縮波背後に発達する非定常境界層流れの密度変化を測定できるよう準備する。すなわち、境界層内の密度測定をするため、測定ビームの径を境界層厚さの 1/10 以 下の<200μm とする。実験では、境界層内の密度測定をするとともに、圧縮波の背後の圧力変 動をスコープコーダ(横河電機(株)、16ch)で記録測定する。 2. レーザー差動干渉計による非定常の密度測定から、管内の非定常境界層流れの層流・乱流遷移 現象を明らかにするために FFT分析器(リオン(株)、2ch)を用いて密度変動のパワースペクトル解析を行う。さらに、壁面からの測定位置を変更して、背後に発達する非定常境界の助走部 における、境界層の層流・乱流遷移を測定する 3. 弱い衝撃波を用いて管径の6000倍の長距離距離を伝播させ、圧力波の非線形伝播特性を詳細に測定するために、多数の圧力変換器を用いて測定する。それを元に波面背後の流れ場の数値解析も行い、圧力変動に及ぼすパラメータを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった圧力変換器(XCS-190-5G, 5個)の納期が年度をまたがってしまったので、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
圧力変換器(XCS-190-5G, 5個)の購入に充てる。
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