本研究課題では臨床での尿管結石の効果的な破砕を目的として,軟質および硬質境界を有する狭小空間内のレーザー誘起気泡の崩壊・衝撃機構の解明を行った.結石破砕の治療手法として内視鏡用ファイバーレーザーが用いられる.短時間で効率的に結石破砕を行うことが患者の負担を軽減することになる.破砕効率を向上するために,レーザー出力の増加およびファイバー径の増加という手法が取られているが,実際にはファイバー先端より照射されたレーザー誘起気泡の効果を定量的に評価する必要がある.これまでファイバータイプのレーザ誘起気泡に対し,壁面近傍の挙動と衝撃の関係を調べ,壁面への最適気泡衝撃付加条件を提示するとともに,2つの平板で形成された狭小空間における気泡挙動を示してきた.このような高温蒸気気泡の成長および崩壊は,たとえ短時間であっても周囲壁面近傍で生じることによって,(臨床ではある程度の高周波数(数10~100Hz程度)で繰り返されることから)体内組織へのダメージにつながる可能性があり,その挙動の把握が必要である.そこで本年度は,ゼラチンで形成された円筒狭小空間内で形成される気泡挙動に対して検討した.ついで,結石を模擬した固体球を設置して気泡挙動の観察を行い,軟質円筒狭小空間における固体境界近傍の気泡と周囲壁面の挙動について示した.
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