プラズマアクチュエータ(Plasma Actuator: PA)は剥離流れの抑制に有効な空力制御デバイスとして注目されている.PA制御研究は大学等の小型低速風洞で実施されているが,実用化にとって重要な高Reynolds(Re)数流れへの適用研究は進んでいない.本研究では高Re数風洞を利用してPA制御効果を実証する(Re数>10の6乗).また,PAは放電に伴う音を発するため空力音を低減するデバイスとしての利用が困難である.そこで,本研究ではノイズキャンセリング法を利用してPAからの放電騒音の低減を図る. 2018年度は,風洞を利用して高Re数流れにおけるPA制御効果を調べた.再現性に課題はあるものの,PAによる剥離制御効果を確認することができた.さらに,高速応答PSP(pressure-sensitive paint: PSP)による圧力場計測を行い,PA制御により形成される翼面の低圧力領域を可視化することに成功した.また,翼の剥離流制御に用いるPAの低騒音化のために,同じ仕様の2式のPAを1列に配置し,片側のPA放電位相を変え,ノイズキャンセリング法による放電音低減効果を調べた.騒音計を用いて放電音を計測し,低減効果を確認した. 本研究では,高Re数流れにおいて,PAを用いて2次元翼の剥離流を制御できることを示した.また,音波の重ね合わせを利用したノイズキャンセリング法を用いることで,放電音低減効果が得られることを実証した. これまで連続放電型のPAの研究を進めてきたが,誘起流の高速化は難しく,亜音速以上の高速流制御への適用は厳しい.今後は,高出力化が期待できるナノ秒パルス放電型PAの研究に取り組み,PAによる空力制御の適用範囲拡大を図る予定である.
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