研究課題/領域番号 |
16K06109
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
党 超鋲 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (30401227)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 低コヒーレンスレーザー干渉法 / 薄液膜挙動 / レーザー共焦点変位計 |
研究実績の概要 |
次世代空調機用高性能熱交換器の伝熱管として期待されている扁平多穴管を主なる対象として,表面張力作用が大きい微細流路の蒸発伝熱性能に支配する薄液膜の挙動の非接触直接計測手法の開発を行う.特に低コヒーレンスレーザー干渉法により伝熱面における二次元的な薄液膜厚と分布を同時に計測する手法を開発し,レーザー共焦点変位計による局所液膜厚の高速計測と併用することで,伝熱管の形状,表面特性および動作条件における薄液膜の特性のモデリングを行い,伝熱実験計測および数値解析に必要な液膜挙動情報を提供することが研究の目的である。 H28年度には、空間的なコヒーレンスの低い光源を用いて、参照光と薄液膜を透過する測定光から形成する二次元の干渉縞の強度情報を検出し,それを光路差に変換することで液膜厚みの情報を抽出できることが確認した。0.15 mmのカバーガラスを計測対象とした時のレーザー共焦点とのズレは0.8%以内であることが得られた。H29年度において、低コヒーレンスレーザー干渉法を用いて、実際の矩形管における薄液膜の干渉縞の計測および液膜情報の抽出を試みた。流動条件における干渉縞の記録ができたものの、正しく強度の情報が抽出できなかった。その理由は、矩形管の側面は平坦でないため、光が透過する時に強度の偏りが生じるためである。更に、気液二相流が流れる時の大きい流動抵抗により、矩形管内部が膨張と収縮が繰り返して、光の強度の偏りの時系列的な変化も生じた。結論として、2枚の壁が挟んだ液膜の計測に対して、光強度の信号を用いる限界があることがわかった。更に高性能な微細伝熱流路の形状を理論的に検討し、広がり流路の流動現象の可視化観察と実験計測を行った。広がり流路を用いて、並行微細流路より数倍高い伝熱性能、高い流動安定性が得られた。この広がり流路の流動・伝熱現象の可視化計測とメカニズムの解明に研究方向を変更した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H29年度において、低コヒーレンスレーザー干渉法を用いて、実際の矩形管における薄液膜の干渉縞の計測および液膜情報の抽出を試みた。流動条件における干渉縞の記録ができたものの、正しく強度の情報が抽出できなかった。その理由は、矩形管の側面は平坦でないため、光が透過する時に強度の偏りが生じるためである。更に、気液二相流が流れる時の大きい流動抵抗により、矩形管内部が膨張と収縮が繰り返して、光の強度の偏りの時系列的な変化も生じた。結論として、2枚の壁が挟んだ液膜の計測に対して、光強度の信号を用いる限界があることがわかった。壁を介さない液膜の計測対象を考え、その膜の挙動(厚み、時間的な変化など)を計測することの準備を行うと同時に、より高性能な広がり微細伝熱流路の流動・伝熱特性の検討に方向を変更した。
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今後の研究の推進方策 |
壁を介さない液膜の計測対象を考え、その膜の挙動(厚み、時間的な変化など)を計測することの準備を行うと同時に、更に高性能な微細伝熱流路の形状を理論的に検討し、広がり流路の流動現象の可視化観察と実験計測を行う。広がり流路を用いて、並行微細流路より数倍高い伝熱性能、高い流動安定性が得られることが確認したので、この広がり流路の流動・伝熱現象の可視化計測、伝熱性能の評価、液膜挙動の直接計測及び数値計算を行い、メカニズムの解明を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度予定だった矩形管内の二相流動の計測が困難であることがわかったため、研究計画の再検討を行った。予定より遅れが生じ、その分予算全額を使用することができなかった。H30年度から新しい計画を立ち上げる予定なので、翌年度分として請求下助成金と合わせて効率的に使用する
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