エーテル化合物の自着火過程に関して,量子化学及び反応速度論的手法を用いて低温及び高温酸化反応の反応速度定数を求めた.対応するアルカンの反応速度定数との比較から,エーテル結合に隣接する炭素原子が関与する素反応に特徴が現れることを明らかにした.求めた反応速度定数を利用して構築したジエチルエーテルの詳細反応モデルは,内燃機関の温度及び圧力環境下における着火遅れ時間,冷炎が二段に分離する実験事実を再現することができる.また,反応経路及び感度解析から,アルキル型ラジカルのβ分解反応,ヒドロキシアルキル型ラジカルの環状エーテル生成やβ分解反応が着火遅れ時間に大きく影響を与えることを明らかにした.
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