研究課題/領域番号 |
16K06122
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
堀部 明彦 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (50229241)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 熱利用 / 収着剤 / 蓄熱 |
研究実績の概要 |
(1)収着剤複合粒子の材質等の検討 本研究では,収着剤を用いて潜熱貯蔵を行うことを目的としており,収着剤粒子の特性を考慮して流動層にて水蒸気の出し入れ(乾燥と水蒸気収着)を行う.本研究では,ガラスや金属の粒子に収着剤を塗布する新規収着剤複合粒子を用いることを検討し,中心材を変えることにより径や密度,熱特性を変化させた粒子を試作し,最適な粒子を選定する.そのため,収着剤粒子の比熱や蒸気の平衡収着量など基礎的な物性値については収着量測定装置などを用いて,有効熱伝導率は定常型の熱伝導率測定装置を製作して測定することにより,各種物性値を測定した. (2)流動層式潜熱貯蔵槽の構造検討および実験装置の作製 下記の実験装置を作製し,熱・物質バランスの確認など装置の信頼性の検証を行った.実験装置は,収着剤粒子を流動層型の蓄熱槽に充填し,槽下部より湿り空気を流入し,流動状態にある収着剤粒子に,加温された空気により収着剤の脱着(乾燥)操作を行い,その後,乾燥した収着剤により空気の除湿を行うものである.実験装置は大別して空気制御部および試験部から構成されている.空気制御部はコンプレッサ,アフタークーラ,メンブレンドライヤ,気泡塔,エアヒータより構成され,調温湿された空気を試験部へ送り出すことを可能とする.また,空気制御部は2流路に分かれており, 3方弁にて切換えることができる構造としている.試験部は可視化を可能とするためにポリカーボネイト製の円管容器とし,内部に収着剤複合粒子を充填する.また空気入口および出口に試験部の圧力損失を測定するための圧力タップ並びに湿度測定用の湿度センサーを設け,出口には精密湿度測定用の露点計も設置し,入口,出口の空気湿度を測定する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記したように,当初の研究計画に比較して,順調に研究を進めており,研究の目標が達成できるように創意工夫しながら遂行している.
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今後の研究の推進方策 |
種々の条件における基本的特性の把握:収着剤複合粒子を潜熱貯蔵材料として用いるための基礎的なデータを収集するために,実験装置を用いて,以下の因子が脱着,収着挙動に及ぼす影響を検討する.なお,試験因子が多いため各因子の影響を評価する場合には,まず基本となる条件を定め,優先順位を決めて実験を行う.実験装置は状況に合せて改良する.1)収着剤複合粒子の脱着(乾燥)性能評価因子(夜間に相当):空気流速の効果,流動層型潜熱貯蔵槽入口空気温度の効果,流動層型潜熱貯蔵槽入口空気湿度の効果 2)収着剤複合粒子の収着(空気除湿)性能評価因子(昼間に相当):空気流速の効果,流動層型潜熱貯蔵槽入口空気温度の効果,流動層型潜熱貯蔵槽入口空気湿度の効果など. 上記の測定結果をもとに,各入口空気条件における出口空気温度・湿度の経時変化,出口空気平均温度・湿度,収着剤粒子の水分量の経時変化を把握し,実機での性能の指標となる整理を行う.なお,実験は測定用パソコンを用いて計測し,収着剤粒子の収着量は天秤を用いて質量測定する.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度以降にも機器改良のための費用や資料収集・研究結果発表のための旅費等の支出が見込まれ,一方,平成28年度分としては,購入した湿度計が適正な機種選定によりやや安価で購入ができ,消耗品に関しても設計や仕様を検討することにより,当該年度の経費としてはやや削減ができたため,研究計画全体の効果的な遂行を検討した結果,次年度に予算を繰り越すことを選定した.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の研究計画による予算支出に加えて,予定より性能の良い測定・解析用パソコンおよび機器改良のための消耗品の購入を予定し,また,資料収集・研究結果発表の旅費に使用して,本課題研究のさらなる展開を図る.
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