研究課題/領域番号 |
16K06126
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西山 貴史 九州大学, 工学研究院, 助教 (80363381)
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研究分担者 |
高橋 厚史 九州大学, 工学研究院, 教授 (10243924)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ナノバブル計測技術 / FM-AFM |
研究実績の概要 |
沸騰伝熱は幅広く応用されているにも関わらず、そのメカニズムには不明な点が多い。特に沸騰初期の気泡発生プロセスに関してはほとんどわかっていないと言っても過言ではなく、その原因はナノスケールでの検証が十分に為されていないことに尽きる。その一方で、原子間力顕微鏡(AFM)による固液界面計測により、ナノバブルと呼ばれる微細な気泡の存在が明らかとなっている。本研究ではAFMの中でも最も高感度な固液界面計測および3次元フォースマッピング計測が可能なFM-AFMを用いて固液界面ナノバブルの安定化メカニズムを解明することを目的とし、得られた知見を親水・撥水複合伝熱面の最適化に活かして伝熱機器の基本性能向上を目指すものである。初年度となる平成28年度の計画では、FM-AFMによるナノバブル計測技術の向上、およびナノバブル周辺の3次元フォースマッピング計測を行うことを主な目標として研究を進めてきた。 この研究においては、ナノバブル計測以前にFM-AFMを使いこなすこと自体がスキルを要する作業である。これまでにHOPGをはじめ、マイカ・Siウェハーなど種々の基板材料を用いて液中計測のトレーニングを行ったことにより、FM-AFMによるナノバブル計測および3次元フォースマッピングのスキルは明らかに向上した。ただ、3次元フォースマッピングに関しては、計測自体は行うことができているが、それをナノバブル周辺で行うとなるとより困難であり、そこはさらなる工夫が必要であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FM-AFMの取扱いにも慣れてきて、ナノバブル計測技術は着実に向上している。また、ナノバブル周辺の3次元フォースマッピングを試みた際、熱ドリフトによる不安定性が問題となったため、計測部分全体を恒温槽で覆う措置を行った。 FM-AFMによるナノバブル計測自体が難しく、ナノバブル周辺の3次元フォースマッピングはより困難であることは想定どおりであり、初年度は技術向上に当てる予定であった。よって研究の進展はおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
2017年の4月より研究代表者が九州大学から福岡大学へ異動することとなった。現時点では福岡大学にて固液界面ナノバブルの計測を行える環境は整っていないため、今後は九州大学に出向いて、これまでに使用していたFM-AFMを用いた実験を行うことになる。しかしながら、勤務地がさほど離れていないこともあり、特に研究計画の変更等は必要なく、予定通り研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度については、AFMカンチレバーの購入費用、AFM使用料、成果発表の旅費など多くの経費を他の予算から支出することができ、さらには実験補助への謝金も発生しなかったこと等によって本研究費からの支出が抑えられたため、次年度使用額が生じることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究代表者の所属機関が変わり、今後は外部の使用者として九州大学の中央分析センター所管の装置を使用することになるため、その利用料等として使用し、実験補助の人件費としても使用する予定である。
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