予混合火炎に同軸型DBDプラズマアクチュエータを使用し,その燃焼特性を明らかにした.DBDプラズマによって発生する誘起流れがもたらす予混合気の速度場(フェーズ1)や,化学活性種,高電圧を印加することによって発生する電場(フェーズ2)に着目し,それぞれが燃焼に与える影響を明らかにした. フェーズ1では、流れの可視化実験を行い,ノズル内で発生する誘起流れによって生じた速度変動が流れに与える影響の調査,さらにその誘起流れにをLDVを用いて測定し速度分布および乱れ強さ分布を得た.その結果、印加電圧14 [kV]の時,平均流速分布において変化を確認できた.上向き誘導流では,境界層付近の流速が上昇し,ノズル中心の速度が減少した.下向き誘導流では,境界層付近の流速が減速し,ノズル中心の流速が増加した. フェーズ2では、ハイスピードカメラを用いて火炎形状撮影実験を行い,DBDプラズマが予混合火炎に対してどのような影響を与えるか調査した.また、分光器を用いた火炎自発光法分光測定より化学活性種の同定実験を行い,DBDプラズマの化学的な力が火炎に対して如何なる影響を与えるか調査した.さらに一部の実験においては,高電圧の印加に伴って発生する電場の影響を確認した.その結果次の知見を得た.(1)噴出流量3.31 [L/min],当量比0.85 の予混合火炎に対して同軸型DBDプラズマアクチュエータを使用すると吹き消えを抑制し燃焼継続を可能とした.(2)火炎自発光法分光測定において,印加電圧12 [kV]以上から化学活性種の波長のピークである311 [nm](OH),391 [nm](CH),432 [nm](CH),471 [nm](C2),517 [nm](C2),559 [nm](C2)の発光強度が増加していくことを確認できた.(3)14 [kV]における燃焼の継続は,電場による引き寄せる力,誘起流れによる予混合気の速度変動,化学活性種による相互の燃焼促進効果によるものだと考えられる.
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