2018年度は、マルチイオンプローブ法の性能を高める、マルチイオンプローブ法の計測特性を確認するための「①:定容燃焼管による計測実験」と、マルチイオンプローブを用いたガソリンエンジン内の燃焼計測技術を確立するための「②:2ストロークガソリンエンジンによる計測実験」の2つを並行して行った。 「①:定容燃焼管による計測実験」については、イオンプローブをより高密度で設置するために、従来よりも小径の直径が0.3mmのイオンプローブについて火炎の検出特性を調べた。またマルチイオンプローブ法の計測特性を確認するため、デトネーションを用いてすす膜法によって得たデトネーションセルの情報とマルチイオンプローブによる火炎計測結果を比較したところ、これら2つの計測結果に定性的・定量的な一致が見られた。したがってマルチイオプローブ法によって捉えられた微小区間での速度変動がデトネーションセル構造によるものであると確認できた。 「②:2ストロークガソリンエンジンによる計測実験」については、課題であった点火ノイズの影響について火炎信号の増幅回路を一から見直すことにより、ノイズを低減する目途がついた。しかし、増幅後の火炎信号がFPGAで受けるためには強度が十分でないため、イオンプローブ自体の最適化を図るべくイオンプローブ形状がエンジン内の火炎検出特性に及ぼす影響を調べた。火炎の検出感度を高める最も効果的なイオンプローブ形状のパラメータは突き出し量であることが明らかになった。しかし、イオンプローブの突き出しは、火炎伝播そのものに物理的な影響を及ぼしてしまうため、突き出し以外の方法で感度を高める方法を考える必要があることも明らかとなった。
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