研究課題/領域番号 |
16K06134
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研究機関 | 山陽小野田市立山口東京理科大学 |
研究代表者 |
結城 和久 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 教授 (90302182)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 熱工学 |
研究実績の概要 |
本研究では、次世代SiC型車載用インバータの自立型ポンプレス冷却もしくは極低流量冷却デバイスを開発するため、一方向性の気孔構造を有するユニポーラス体を用いた低流量冷却技術を確立することを目的としている。ユニポーラス体の母材として熱伝導性に優れる銅材を採用するが、先ず、機械加工によって製作された銅製ポーラス体によってレファレンスデータを取得し、次に、量産性に優れるロータス銅(溶融銅内における水素溶解度の温度依存性を利用して形成)により実証データを得る。平成28年度までに、機械加工により製作されてたポーラス体を導入し、平成29年度では、グルーブ伝熱面とポーラス体を併用した冷却デバイスの冷却性能に対する流量・サブクール度・熱流束の影響を評価した。この評価の中で、平成29年度では目標値としていた1000W/cm2に近い冷却性能を低流量条件で達成した。また量産型ロータス銅を用いた小型冷却デバイスを新たに製作し、シェイクダウン試験により500W/cm2レベルの冷却性能を実証した。この新たな流動冷却装置を用い、流量がゼロに近い状態での冷却データの取得に着手している(プール沸騰に対応(厳密にはサーモサイフォン型))。そのほか平成29年度では、ポーラス体とグルーブの内部二相流状態を解明するため、可視化試験装置を設計し、現在、最終調整を行っている。更にユニポーラス体内での相変化現象の予測と最適設計に資するため、SPH法(Smooth Particle Hydrodynamics法)を用いたポーラス体内相変化現象の解析コード構築を継続して実施している。並行して平成29年度では、汎用ソフトSTREAMを用いて冷却デバイス内の流量分配状況を評価し、冷却デバイスの課題を明らかにした。現在、MARSコードを用いた相変化解析を実施できる状況まで準備が進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度では可視化実験装置による可視化試験を実施する予定であったが、機械加工ポーラス銅の伝熱試験において、銅伝熱ブロックからの水リークやその他のトラブルが発生したため、多くの時間をこの問題解決に費やす必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画では、2種類のユニポーラス体を導入予定であったが、現在までの伝熱試験結果と量産性からロータス銅を採用することとする。これにより、ユニポーラス体として重要なパラメータである気孔率、気孔サイズなど、より多くのパラメータに対する伝熱データを最終年度で確実に取得することができる。
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次年度使用額が生じた理由 |
電子機器冷却への実装を意識して新しい冷却デバイスを設計したが、年度内の残額では支払いができなかったため、平成30年度へ繰越しした。
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