研究課題/領域番号 |
16K06138
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研究機関 | 神戸市立工業高等専門学校 |
研究代表者 |
三宅 修吾 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60743953)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 発熱量測定 / 自己伝播発熱反応 / 多層金属粉末 / 高精度温度計測 |
研究実績の概要 |
H29年度の主な成果は以下の通り. (1)高精度発熱量計測技術の開発:H28年度に開発した恒温壁型熱量計の試作機を用いて,圧延条件の異なるAl/Ni発熱材料の熱量計測を行った結果,圧延回数に伴う発熱量の増加傾向を得ることができた.X線回折や温度計測などの評価により,形成される金属間化合物の不均一さに依存していることが示唆された.(2)高時間分解能温度計測技術の開発:熱電対の計測上限以上の温度を示す材料に対応するために,熱電対と併用した放射温度計による反応中の温度測定技術を検討した.反応中のAl/Ni粉末表面の放射率は瞬間的な温度変化に伴って変動することから,二波長式放射温度計と高速検出対応の単波長放射温度計を用いた実験を行い,サンプリング時間0.5μsecで放射率を補正した温度計測系を構築した.(3)Al/Ni多層膜の微細化技術の開発:これまでに検討してきた多層金属粉末作製方法を基に,さらに原料となるAl/Ni量比を変更する事で,反応中の最高到達温度を制御する技術を見出した.(4)発熱反応を誘起する交流磁界発生装置の開発:開発した多層金属粉末材を交流磁界中で反応させることに成功.しかし材料の発熱特性に応じた適切な交流磁界および磁界発生装置の選定には至っておらず,今後のさらなる検討が必要(5)磁性体を含むペースト状発熱材料の開発:Al/Ni多層粉末に35μmのはんだ粉末と液状フラックスを混練してペースト状発熱材料の製作に取り組み,ペースト状では電気スパークによる自己伝播発熱反応が起こりにくい傾向が認められた.(6)接合技術への展開:Al/Ni多層粉末の発熱量を用いた接合を試み,アルミ箔・銅線などの金属材料の接合に成功した.(5)で検討中のペースト状発熱材料を用いた接合技術は,ペースト状発熱材料の進捗に応じて今後検討する予定.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ計画通りに実験・検討を進めており,一部の結果については学会発表も行っている.最近の実験結果から,ペースト状での発熱反応誘起が従来の電気スパークでは困難である可能性が高い事が判明.交流磁界での反応誘起を更に検討する必要がある.しかし反応性と交流磁界発生装置の仕様を適合させるための試行錯誤には,装置メーカの協力が不可欠となってきており,現在,外注委託を含めて調整中である.
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに進める予定. 一方,ペースト状試料の反応方法について,さらに詳細な検討が必要である可能性が高くなっていることから,交流磁界中での反応に特化した材料設計に絞る方向性を検討中.さらに別テーマで継続検討する事も視野に入れ,汎用性と信頼性の高い接合技術の確立を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品その他購入時の見積額と価格変動に伴う実行金額の差額により使用額に差が生じた. H30年度の予算使用計画に変更なし.
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