研究課題/領域番号 |
16K06151
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
坂本 秀一 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (40211932)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 吸音材料 |
研究実績の概要 |
管状植物を斜め配置した場合の導波管効果の確認と、斜め入射吸音率の測定について、管状の植物を斜めに配置することにより、導波管効果が表れて吸音材の見かけの厚さが増大する効果を製作した装置を用いて引き続き測定した。斜め入射吸音率の測定では、半無響室において、大型の試料を用いて行った。その際には粒子速度プローブを用いて粒子速度と音圧を直接求めて、入射インピーダンスを測定した。これらの結果は、国際シンポジウムにおいて発表した(研究発表の欄に記載)。 古紙を束ねた構造において、積層した段ボール形状の断面に関する実験および理論解析について、積層した段ボール形状に関する音響特性について引き続き研究を行った。積層した段ボール形状について、実験結果を理論解析による計算結果によって確認できた。 稲藁間の隙間、円管状の隙間、同心円状の隙間、を統合した吸音特性の理論解析と実験について、各種の隙間の寸法と数を考慮して統合することにより、束ねた稲藁のシミュレーションを行い、実験と理論解析はおおむね一致が得られている。これにより、シミュレーションの信頼度が確認出来たため、各種類の隙間の吸音率への寄与をシミュレーションにより明らかにした。これにより、どの種類の隙間をどのような寸法とすれば吸音率が向上するかが明らかになった。 計算負荷の小さい近似形状である三角形断面の隙間について、実験および理論解析を行った。また、四角形についても実験ならびに理論解析を行った。その結果、三角形については実験と理論解析はおおむね一致が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
管状の植物を斜めに配置することにより導波管として働き、吸音材の実効厚さが増大する効果の確認と、音波が斜めに入射した場合の吸音率の変化の測定を引き続き行った。その結果、実験結果と検証用のインピーダンス管の測定値はよく一致し、斜め入射吸音率も従来よりも正しく測定された。 古紙を束ねた構造において、積層した段ボール形状に関する理論解析について結果がまとまりつつある。 稲藁を3本束ねると中央に出来る隙間に関して、計算負荷の小さい近似形状である三角形などの隙間への近似について、引き続き吸音特性の実験および理論解析を進めている。 稲藁間の隙間、円管状の隙間、同心円状の隙間、を統合した稲藁の吸音特性の理論解析を行い、それと幾何学的に一致した模擬稲藁試料における実験結果との比較を行った。これらの結果について学術雑誌へ論文が投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
古紙を束ねた構造において、積層した段ボール形状に関する実験および理論解析については、既に行っている実験との比較を行い、学術雑誌への論文の投稿を準備する予定である。 管状の植物を斜めに配置した吸音材料について、音波が斜めに入射した場合の吸音率と、斜め入射吸音率が従来よりも適切に測定された。これらの結果について国際会議で発表の準備中である。 稲藁を3本束ねると中央に出来る隙間に関して、今後他の多角形形状についての研究を行い三角形の結果と共に集約し、学術雑誌に論文として発表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に計上した球形スピーカ校正器などは他の予算で購入できたため、音圧による試料の振動の影響を検証するための超軽量加速度センサを購入した。 平成30年度は、平成29年度からの次年度使用額を併せて、研究の進捗状況に沿った設備備品の導入や研究費の運用を行う予定である。
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