バイオマスの再利用は炭素の固定にも繋がり、後に焼却処理されてもカーボンニュートラルである。上記の背景を踏まえて、本研究ではバイオマスを応用した多孔質吸音材料として、稲藁・古紙などの吸音特性の実験・理論的な解明を行った。 管状植物を斜め配置した場合の導波管効果の確認と、斜め入射吸音率の測定を行った。管状の植物を斜め配置することにより、導波管効果が表れて吸音材の見かけの厚さが増大する効果を、装置を製作して測定した。また斜め入射吸音率について理論的な検討も行った。斜め入射吸音率の測定では、半無響室において、大型の試料を用いて行った。その際には粒子速度プローブを用いて粒子速度と音圧を直接求めて、入射インピーダンスを測定した。 稲藁間の隙間、円管状の隙間、同心円状の隙間、を統合した吸音特性の理論解析と実験を行った。束ねた稲藁に存在する全ての隙間の形状における個別の解析結果を用いて、三種類の隙間の寸法と数を考慮して統合した。これにより、束ねた稲藁モデルのシミュレーションを行った。また、計算モデルと等しい寸法の稲藁模型を樹脂材料で製作し実験を行った。そして、実験値と計算値を比較した結果、良い一致が得られ、計算モデルが検証された。 古紙を束ねた構造において、積層した段ボール形状の断面に関する実験および理論解析を行った。積層した段ボール形状は、目の細かいものは有意な吸音性能が実験により確認された。また、積層した段ボール形状に関する音響特性について理論解析を行い計算値を求めた。これについても、実験値と計算値を比較した結果、良い一致が得られ、計算モデルが検証された。
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