本研究は,リニアガイドウェイのスティッキング(リニアガイドウェイを小ストロークで往復駆動するとリニア軸受の駆動に必要な力(駆動力)増大し,駆動が困難になる現象)の発生機構を解明し,低減することを目的としている. 昨年度は,スティッキングの発生機構を解明に取り組み,スティッキングは,負荷圏で隣接する玉同士の接触点で生ずるすべり摩擦によって発生することを明らかにした.そこで,本年度は,スティッキングの発生機構を踏まえて,スティッキングの低減法にについて研究することとした. ところで,スティッキングの低減には,スペーサーボールの使用が有効であることが,これまでに明らかになっている.しかし,スペーサボールの使用はリニア軸受の負荷容量の低下をもたらす.そこで,本研究では,スペーサボールを使用せず,キャリッジの寸法を変えることによりスティッキングの低減を目指した. 本年度は,申請者が開発した実験装置を用いて,玉列数2列のリニアガイドウェイのスティッキング(駆動力の増加率)および負荷圏内の玉間のすきまに及ぼすキャリッジの寸法の影響を実験的に調べ,以下の結論を得た.①最大直線速度が大きく,ストローク長さが長いほど,駆動力の増加率および浮上り側の負荷圏中央付近における玉間のすきまは低下し,スティッキングは発生しにくくなる.②キャリッジの寸法を変えて,キャリッジを変形しやすくすると,スティッキングが低減できる.
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