研究実績の概要 |
昨年度までに,2次精度近似理論に基づく時間平均量最適化アルゴリズムを構築していたが,今年度はこの実用性を検証するため,2次元正方容器内熱対流場において,加熱を行う左壁面剪断応力の時間平均量最適化問題を取り上げた.計算の際は,左壁面に一様な熱流速1で加熱し,右壁面を一定温度で冷却,上下壁面が断熱という境界条件を用いた.最適化の際の拘束条件として,温度方程式,渦度方程式の発生項の振動振幅の二乗が領域上で積分すると一定値になる,という条件を用いた.その結果,剪断応力を最小化する振動は,Ishidaら1)が既に示している,内部重力波共鳴に酷似した振動となることが明らかとなった.一方,最大化する振動は振動の位相にかかわらず,全体として循環流を強め,結果として剪断応力を高めていることが明らかとなった.これらの解析は最適化問題を固有値問題に帰着させ,ノンパラメトリックに行うものであるが,振動による目的関数の上界・下界ではなく,最大・最小値が求められたことが注目に値する.
[1] H. Ishida, K. Yamamoto, S. Nishihara, T. Oki, and G. Kawahara, Forced oscillations, optimal forcing and resonance of thermal convection under small, time-varying forcing, Int. J. Heat Mass Transfer, 55 (2012), 6618-6631.
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